「マスクスプレー」が欠品するほどの人気に

高橋2020年からは多くの企業がコロナ禍に翻弄されました。生活の木の経営にはどんな影響がありましたか。

重永弊社は全国に110店舗を抱えています。まず、政府が緊急事態宣言を発令した20年4月7日以降、それらの店舗をすべて閉じました。リアル店舗の売上高は生活の木の売り上げの70%を占めますから、通常なら、売上高は昨年の30%まで落ち込むところです。ところが4月の売上高は昨年対比87%、5月は78%にとどまりました。なぜ大幅な落ち込みを防げたのか……。

高橋オンライン販売があったからですか。

重永そう、1つの理由はオンライン販売であり、もう1つは、卸の売り上げが拡大したからです。生活の木はもともと1000社と卸取引があり、売り上げが全体の30%を占めていました。コロナ禍で、まさにWellness、Well-beingを向上して日々の生活を乗り切ろうとする需要が高まり、卸取引が急拡大しました。ドラッグストアなどで、家にいる時間を快適に過ごすためのアロマや、マスクを心地よい状態でつけられる「マスクスプレー」などが数多く売れたのです。

重永 忠(しげなが ただし)氏 生活の木 代表取締役社長/高橋 ゆき(たかはし ゆき)氏 ベアーズ 取締役副社長
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高橋Wellness、Well-beingをキーワードにリブランディングを図ったことが、このタイミングで消費者の心をつかんだのですね。

重永「予知していたみたいですね」と言われました。社員もそこでリブランディングの意義が腹落ちしたのではないかと思います。オンライン販売や卸先のドラッグストアなどでWellness、Well-beingの需要に対応できた背景には、ユーザーに向けて「コロナ禍における生活で何をしたらいいのか」を積極的に情報配信したことがあります。リアル店舗でユーザーとの接点を持てなくなったので、SNSを徹底活用しました。オウンドメディアやInstagram、Facebook、YouTubeなどで積極的に暮らし方を提案していました。

高橋コロナ禍でどう行動していいか分からない方たちにとって、暮らし方の提案はとても有益だったのではないでしょうか。

重永最初に発信したのは「今できる10のこと」というコンテンツでした。「手洗い、うがいは欠かさずに」「手放せないマスクにアロマをシュッ」「マヌカハニーで健康習慣」など、生活の木が販売する商品の情報は出さずに暮らし方を示すことに主眼を置きました。この情報に多くのアクセスが集まり、ハーブやアロマに興味がなかった人たちも「こういう方法でコンディションを整えられる」「1日の暮らしに変化がつけられる」と認識してくれるようになりました。特に、マスクスプレーは売れ過ぎて欠品した時期があります。これを手作りする方法を動画で発信すると、SNSなどで話題になりました。