「雇用の保証」と「給与の100%支給」をメッセージ発信

高橋その動画、私も見ました。ものすごい再生回数でしたね。マスクスプレーを取り扱う生活の木が、あえて自作する方法を発信したのが新鮮でした。

重永ボタン1つで何でも注文できる時代に、時間をかけて手作りすること自体、生活を豊かにするものです。生活の木がリブランディングで訴えているWell-beingの定義には「人間性の向上・回復」という言葉を入れています。人間らしく生きる、人間らしく暮らすことが大事だということを僕らの事業の中で訴えていきたいと思っています。

高橋キーワードは「as a human(人として)」ですね。今、Wellness、Well-beingという言葉が注目されていますけど、重永さんは私が出会った頃から、WellnessでWell-beingな生き方をされていました。それを経営まで一直線につなげてきた方だと思います。

 ところで、緊急事態宣言の中では店舗を閉鎖せざるを得なかったわけですが、店で働く社員の方たちはその間どうしていたのですか。

重永社員720人のうち店舗の販売スタッフが500人いるのですが、全員2カ月間、自宅待機としました。アプリを導入し、社員と直接連絡が取れるようにしていました。また、僕からのメッセージ動画を全員に配信しました。伝えた内容は2つ。「雇用は絶対に保証する」と「給与は100%支給する」です。自宅で待機している間にも、社員にはやるべき仕事があります。健康を維持し、仕事に復帰した時にお客様をどのように喜ばせるかを考えることです。この仕事があるのだから給与は100%支払うというメッセージを発信したかったのです。この動画メッセージは、社員に休業中の安心感と仕事復帰への期待感を醸成したように思います。

重永 忠(しげなが ただし)氏 生活の木 代表取締役社長/高橋 ゆき(たかはし ゆき)氏 ベアーズ 取締役副社長
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高橋分かります。実は、私もコロナ禍で社員に対して同じように雇用と給与を必ず守るというメッセージを発信しました。それで経営への不安を感じることもなかった。「この社員たちがいれば全員で乗り切れる」と信じていました。コロナ禍では私もすごく社員から支えられました。

重永コロナを機に、社員と経営陣の信頼関係が崩れた会社と強まった会社とがはっきり分かれたのではないかと思います。

 そうして迎えた生活の木の2020年8月期決算は売上高が微増。営業利益、経常利益は前年度の2.5倍になりました。うちの会社は業績連動賞与を導入していて、経常利益の3分の1は賞与として社員で分かち合うシステム。2020年の業績連動賞与は昨年の2倍ぐらいになりました。