人生を懸けて仕事をして、幸せになれる会社に

高橋重永さんは3代目社長です。おじい様は今も生活の木の本社がある東京・表参道で写真館を営み、お父様は陶器の製造販売を手掛けていました。経営を引き継いだ後、どんな苦労がありましたか。

重永事業の中心をそれまでの陶器からハーブ、アロマに転換したので当初はとても苦労しました。父親が経営していた頃はまだ組織もできていない“商店”でした。器が好きで入ってきた社員とワイワイやっていたのに、ハーブやアロマを販売することになって、社員がどんどん辞めていきました。

 そもそも、まだハーブやアロマの市場は日本にまだ全くない時代です。会社は陶器で食いつなぎながら事業転換を進めましたが資金繰りにも窮しました。銀行員はハーブを見て、「こんな草がカネになるわけない」という空気を漂わせていました。ここでやろうと出店契約を結んでも、融資が受けられず解除せざるを得ないことが続きました。お金の苦労って体に正直に出るものですね、頭のてっぺんからつま先まで、全身じんましんになったことがあります。あの頃はつらかったですね。

重永 忠(しげなが ただし)氏 生活の木 代表取締役社長/高橋 ゆき(たかはし ゆき)氏 ベアーズ 取締役副社長
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高橋その時代をどのように乗り越えたのですか。何がきっかけで歯車が回り始めたのでしょうか。

重永うまく行き始めたのはハーブやアロマが好きな社員が入ってくるようになってからです。2000年頃からでしょうか。ようやく「これでいける」「こんなに意欲的な社員が来てくれたなら絶対に面白いビジネスになる」と確信できました。

高橋面白い。「好きこそものの上手なれ」ですね。ハーブ好きな社員たちが会社を立て直したのですね。

重永まさにそうです。「努力は夢中に勝てない」という言葉を聞いたことがあります。努力できる人というのはすごいけど、夢中になっている人にはかなわない。そのうちに、会社の理念や哲学に共感する人も入ってきてくれるようになりました。その社員たちに向けて、頑張れば頑張るほど報酬を得られる仕組みをつくろうと、20年ぐらい前に業績連動賞与を導入したのです。

 僕は生活の木を経営していて、最も幸せになってもらいたいのは社員なんです。お客様に幸せになってもらうのは当然のことですが、社員が人生を懸けて仕事をした結果、幸せになれる会社でありたい。そのための仕組みをつくるのが、経営者の仕事だと思っています。