家事代行サービス・ベアーズの高橋ゆき副社長が経営者の本音に迫る本連載。専業主婦から転じた藤崎忍・ドムドムフードサービス社長との対談後編では、企業経営において重要なテーマとなるウェルビーイング実現への考え方や、社員やお客の声をつかむための方法、今後のライフプランなどについて語り合った。

藤崎 忍(ふじさき しのぶ)氏 ドムドムフードサービス代表取締役社長/高橋 ゆき(たかはし ゆき)氏 ベアーズ 取締役副社長
ドムドムフードサービスが運営する新業態店舗「TREE&TREE’s」の店内
写真/陶山 勉
[画像のクリックで拡大表示]
藤崎 忍(ふじさき しのぶ)氏
ドムドムフードサービス代表取締役社長
1966年生まれ。東京都出身。青山学院女子短期大学卒業。政治家の妻となり39歳まで専業主婦として過ごす。夫の病を機にSHIBUYA109のアパレルショップ店員として働き始める。経営方針の違いから同社を退職後、居酒屋を開業。料理のおいしさや接客の良さで一躍人気店になる。その腕を常連客に見込まれ、ドムドムのメニュー開発顧問に。「手作り厚焼きたまごバーガー」をヒットさせ、ドムドム入社。その後わずか9カ月で社長に就任。

高橋ゆき氏(以下、高橋)前回は、お客様やスタッフの幸せや満足を第一に考える「おもいやり経営」についてお話しいただきました。今回は今後の経営に求められることについてお聞きしたいと思います。

 これからは、人々のウェルビーイング(Well-being、心身共に健康で幸福である状態)が何よりも重視される時代になると思っています。企業経営においてもウェルビーイングの実現は重要な課題です。私自身も経営者として、社員に対し「働いて幸せに生きる」ための環境をどう提供するかにエネルギーを注いでいます。藤崎さんは社員のウェルビーイングをどうお考えですか。

藤崎忍氏(以下、藤崎)ウェルビーイングを実現することはとても大切だと思います。今、世の中にはコロナ禍で先行きが見えず不安な方もたくさんいると思います。そういう時こそ、心の満足度を高めるような仕事が大切です。会社内ではまず上長が部下をしっかり観察し、相手の立場に寄り添って思いやりのある言葉を掛け、信頼関係を構築すること。その上で相手を尊重し、イノベーションや責任感を引き出すこと。この2つを実践することで社員の心の満足度が向上し、ウェルビーイング実現につながると考えています。

藤崎 忍(ふじさき しのぶ)氏 ドムドムフードサービス代表取締役社長
[画像のクリックで拡大表示]

高橋一緒に働く仲間に対し誇りやリスペクトの気持ちを持つということですね。

藤崎リスペクトはすごく大事だと思います。弊社にも昔は上から目線で高圧的な態度を取る上司もいたようです。そうやって相手の声を聞こうとしないのは、その人自身にとっても会社にとってもマイナスです。取り入れるべきいい声もたくさんあるはずですから。

高橋それは大いなる機会損失ですね。これからは藤崎さんの考えるウェルビーイングを企業体質やDNAとして定着させ、社内に一層浸透させるためには工夫が必要だと思いますが、いかがですか。

藤崎本当にそう思います。私が社長に就任し、「思いやり経営」を続けてきたことでドムドムは黒字転換しました。これからはそのやり方を言語化し伝えていくことが大切です。

高橋ドムドムはお客様などの要望に応えるのが経営方針ということでした。藤崎さんは社員やお客様など現場の声をどのようにして集めていますか。何か仕掛けや仕組みはありますか。

高橋 ゆき(たかはし ゆき)氏 ベアーズ 取締役副社長
[画像のクリックで拡大表示]

藤崎特に定まった仕組みはありません。ただ社長に就任した時から、組織内の風通しを良くして社員とのコミュニケーションを活発にすることは心がけてきました。社長になる前はスーパーバイザーを務めていたので、その時のグループLINEを活用し、今も店長たちと直接やり取りしています。店長たちからは「新商品のポスターを張り出しました」と写真が送られてくるなど日々報告が届きます。「ありがとう」と感謝を伝えるなど、こまめにコミュニケーションを取っています。お客様の声を拾う方法としてはSNSを活用しています。