ものづくり企業の再生パートナーとして価値を創出

高橋2021年に始まったいわゆる「風の時代」では、見えないもの、感じることが大事になるといわれています。こういう時代にこそ、社会課題の解決につながるビジネスが大きく発展すると思いますがいかがですか。

石坂その通りですよね。そして、目の前の商品だけでなく、その商品がつくられる背景にも投資する世界になるべきだと思います。生産プロセスや原料調達といった本来は見えないところがオープンになり、評価される時代になるのではないでしょうか。

高橋善いことも悪いことも志も努力も工夫もみんなオープンになる。企業は知られては困ることがあってはならない時代がやってくると思います。

石坂これからは、規模の拡大や成長が私たちの幸せになるかどうかも考えないといけません。今の社会経済は共生型になっていません。消費生活を支えるには2030年までに地球2個分の資源が必要といわれています。このままの経済活動には限界があることは明らかです。地球と共生を図るには、ビジネスの形態を変えなくてはなりません。

 例えば、私たち産廃処理会社は廃棄物を破砕し、焼却し、最後に埋め立てます。そもそも埋め立てなくてはいけないものを生み出しているというのは、社会経済の設計ミスではないでしょうか。生活を豊かにしながら廃棄物を排出しない社会をつくらなくてはいけないはずです。

 キーワードは「循環」です。廃棄物の回収や廃棄のプロセスが、生産、製造のプロセスと一体化していくかもしれません。我々が、ものづくり企業の再生パートナーになり、共創によって新しい価値を創出するということがあってもいいと思います。

 地球規模の設計ミスを正そうというのですから、壮大なイノベーションを起こせそうです。ちょうどそのタイミングが「風の時代」の幕開けに重なったのだと感じます。

高橋今は幸せを呼ぶ“幸転機”なのですね。そう考えると、これからの10年は世界規模、地球規模で変化が起きる重要な時間となりそうです。

石坂これから先、単純作業はAIやロボットが担うようになっていきます。多様な価値観の下、想像力と創造力を発揮できる人材を育てたいですね。そのためにも経営者として私は、心の豊かさにフォーカスを当てていきます。働く意味とは何か、目指すものは何か。そういうことが経営者と社員とで共有され、共感されてこそよい仕事ができると思うのです。社長は社員たちを先導はしますが、実際に現場で動くのは社員ですから。

高橋その通りですね。社員がただ生活を守るためだけに働いているというのでは残念です。「この会社にいるのが自分のウェルビーイング(幸せ)だ」「この会社にいると人生のピントが合う」と思える人たちが集い、社会のため、人のために命を燃やせるような会社をつくりたいものです。今日はありがとうございました。

石坂 典子(いしざか のりこ)氏 石坂産業 代表取締役社長/高橋 ゆき(たかはし ゆき)氏 ベアーズ 取締役副社長
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対談後記(Yuki’s EYE)

 このインタビューは「風の時代」が始まって間もない2021年の立春(2月3日)に行いました。新たな季節の訪れの中で、未来を「想像」し、石坂産業を「創造」しようとする石坂社長の言葉の強さと瞳の輝きに触れることができたのは、またとない貴重な機会でした。これから10年、地球規模で大きな変化が起きると予想されます。その中で石坂産業がつくり上げる“愛の循環”は企業という枠を越え、世界に影響を与えていくであろうと確信しています。

文・構成/小林 佳代

高橋 ゆき(たかはし ゆき)氏 ベアーズ 取締役副社長
高橋 ゆき(たかはし ゆき)氏
ベアーズ 取締役副社長
1969年生まれ。1男1女の母。夫の高橋健志氏とともに家事代行サービスのベアーズを99年に創業。家事代行、ハウスクリーニング、ベビー&キッズシッターサービスを展開、業界のリーディングカンパニーに育て上げる。業界の成長と発展を目指し、2013年一般社団法人全国家事代行サービス協会を設立。設立当初から副会長を務め、19年から会長に就任。経営者として、一般社団法人東京ニュービジネス協議会副会長、東京きらぼしフィナンシャルグループ社外取締役を務める。各種ビジネスコンテストの審査員やビジネススクールのコメンテーターを務め、家事研究家、日本の暮らし方研究家としてもテレビ・雑誌などで幅広く活躍。
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