災害時の「共助」に役立つ製品を提供へ

伊藤その後、熊本地震などの際にも要請を受け寄贈しました。アキレスは北海道、栃木県、滋賀県、福岡県に工場があるので、被災地に短時間で届けることができます。

 近年、地震のほかに豪雨や台風など自然災害が多発しています。私たちの技術でお役に立つことがあればうれしく思います。防災事業に力を入れると言いましたが、決して大儲けをするつもりはありません。社会に貢献する事業に携わることで社員のモチベーションアップにつながればいいと考えています。

 21年10月に東京23区で10年ぶりに震度5強の地震が発生した際には、帰宅困難者が続出し、「20km歩けるパンプス」をコンセプトとした当社の「ALL DAY Walk」という婦人靴のシリーズに注文が殺到しました。改めて、大きな災害の際、帰宅困難者をどう守るかが重要な社会課題だと感じました。

 企業は万一の災害に備え、社員のために非常食を用意しています。けれど、帰宅できない社員がいざという時に寝る場所を確保できるかが問題になります。こうした問題に対して企業がマットレスや救助用ボートなどの防災用品を備蓄しておくことで対応できます。さらに、そうした防災用品を非常時に地域に提供し役立ててもらうことも可能になります。当社が中心となって、このような仕組みづくりにも取り組みたいと考えています。

高橋地域のBCP(事業継続計画)のために、企業が防災用品を備蓄する仕組みを構築するということですね。それはとても大事な取り組みです。お話を聞いて、ベアーズもやるべきことがあるのではないかと気づかされました。

伊藤 守氏/高橋 ゆき氏
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伊藤今後は自助、公助に加え、企業と自治体と住民が三位一体となった「共助」が必要だと思います。万一のために買うものですから、企業も大きなお金は使えません。価格の面でも我々が努力しなくてはならないと思います。

 また当社は、“救われる”方たちだけでなく、“救う”方たちにもフォーカスを当てて防災事業を展開しています。21年7月に静岡県熱海市で起きた土砂災害での救助の様子を見る機会がありましたが、救助隊の方たちが泥にまみれながら地道にバケツリレーで土砂を運び出すという過酷な状況でした。救う人が疲弊して作業ができなくなれば、その分、救われる人数は減ってしまいます。当社の製品を通して、こうした状況での安心・安全な救助活動を支援したいと思います。