企業として引き出しを多く持つことが重要

高橋コロナ禍で経営にも大きな変化が訪れています。経営者として「ウィズコロナ」時代にどのように考え、動きますか。

伊藤新型コロナウイルス感染症は当社の経営にプラスにもマイナスにも働きました。マイナス面ではまずシューズの売り上げが下がりました。アキレスの主なお取引先は大手量販店や専門店です。緊急事態宣言で営業できなかったり、外出を控える消費者が増えたりしたため、リアル店舗での紳士靴、婦人靴、お年寄りの靴などの売れ行きが鈍りました。

 一方、コロナ禍を機に売り上げが伸びたものもあります。1つは、コンビニエンスストアのレジなどで使われるようになった飛沫防止用のフィルムです。また、ドアノブや手すりに使う抗ウイルス性フィルムも需要が増えました。この製品は付着したウイルスを15分で99%低減させる抗ウイルス性能を持ちます。コロナ禍など想像もしていなかった17年に「感染症が流行した時のためにウイルス対策が必要」と想定して開発したものです。発売直後は注目されませんでしたが、コロナ禍で一気に注文が増えました。

 もう1つ、売り上げが伸びたのが医療用フィルムで、海外からの引き合いが増えています。このフィルムの製造には、厳しい性能要件が求められ、当社の技術や設備が評価されています。

 こうしてみると、経営環境の急激な変化に対して、企業はいかに引き出しを多く持ち蓄えておくかが重要だと痛感します。今後も新型コロナウイルスは変異を続け、我々は「ウィズコロナ」で生きていかなくてはならないでしょう。前もって準備しておいたこと、蓄えておいたことをいつ、どのように生かすか。経営者として冷静に見極めることが必要だと思います。

高橋 ゆき氏
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高橋どんな世界になるのかを想像しながら創造し続けることが大事なのですね。アンテナを張りつつ考え、動き、チャレンジを続けておくことでピンチの時の対応力につながる。ヒットするもの、貢献するものが出てきて会社が救われるかもしれません。

伊藤20年、30年先のことは分かりませんが、5年先のことなら今の延長線上で考えられます。「アフターコロナ」になってから動こうというのでは遅いと思います。「ウィズコロナ」の中でどんなことができるのかを考えに考え抜くことが重要ではないでしょうか。