この連載では家事代行サービス・ベアーズの高橋ゆき副社長が経営者の本音に迫る。今回の対談相手は羽田未来総合研究所(東京・大田)の大西洋代表取締役社長執行役員。3年前、三越伊勢丹ホールディングス代表取締役社長から羽田空港旅客ターミナルビルの管理運営を担う日本空港ビルデングに転じ、グループ内に新設されたシンクタンクで、社長としてアート・文化や地方創生などを切り口に新規ビジネスの創出に挑戦している。コロナ禍で先が見えない中、社員の情熱とやる気をかき立て、未来に向けた新たな価値を創造しようとする思いを聞いた。

大西 洋(おおにし ひろし)氏 羽田未来総合研究所 代表取締役社長執行役員/高橋 ゆき(たかはし ゆき)氏 ベアーズ 取締役副社長
写真/陶山 勉                                      ※撮影時のみマスクを外した       
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大西 洋(おおにし ひろし)氏
羽田未来総合研究所 代表取締役社長執行役員
東京生まれ。1979年慶應義塾大学卒業。三越伊勢丹ホールディングス社長を経て、2018年6月から日本空港ビルデング取締役副社長、同年7月から羽田未来総合研究所代表取締役社長を兼任。羽田空港内外で新しい価値創造を目指し、地方創生、文化・アートの発信に力を入れている。

高橋ゆき氏(以下、高橋)大西さんが社長を務める羽田未来総合研究所(以下、羽田未来総研)は、羽田空港旅客ターミナルを運営する日本空港ビルデングのグループ会社ですね。設立と同時に大西さんが社長に就任し、もうすぐ3年たちます。新型コロナウイルス感染症の拡大という激動の時期にも重なりましたが、今はどのような状況ですか。

大西洋氏(以下、大西)ご存じの通り、コロナ禍で通常期と比較して、国際線は9割減、国内線は4割減の運行状況です。日本空港ビルデングは国から土地を借りて、旅客ターミナルを建設し、その運営管理を手掛けています。航空会社と同様に、既存ビジネスは厳しい状況です。

 羽田未来総研は、羽田のポテンシャルを生かして新たなビジネスを創造することをミッションとし、将来的に、日本空港ビルデングの事業ポートフォリオの一翼を担うような新規事業を生み出すことを目指しています。設立は2018年7月ですからシンクタンクとしては完全に後発です。他の企業がやったことを後からやっても全く太刀打ちできないので、誰もやらないことを仕掛けることが必要です。

 ただ、そう簡単ではないと実感しています。こうした仕事は人が起点となります。羽田未来総研は現在、25人ほどの組織です。一人ひとりが高い生産性、能力、実行力を発揮しなくてはうまくいきません。日々勉強し、情報を集め、自分たちの中から湧き上がる情熱で立ち向かわなくてはならないところですが、まだその域に達していません。経営者である私自身の責任です。

大西 洋(おおにし ひろし)氏 羽田未来総合研究所 代表取締役社長執行役員
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高橋今はどのような取り組みを進めているのですか。

大西まずは財務基盤を整えるため、日本空港ビルデングが外注していたコンサルティング業務などを少しずつ内製化しています。業務改革の進め方、商業の在り方などを提案し、対価を頂く形です。

 そのほか、地方創生に関わる事業として自治体や中小企業のブランディングなどを手掛けています。「匠の技」と呼べる技術力を持ち、200年以上も続いた企業が、後継者や資金の問題で、継続の危機に直面しています。我々はそうした企業が、広く認知されるためのお手伝いをしています。地方でのそういう仕事がきっかけとなり、今は大型施設の開発や街づくりなどのプロデュースやコンサルティングに発展しつつあります。

高橋 ゆき(たかはし ゆき)氏 ベアーズ 取締役副社長
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