家事代行サービス・ベアーズの高橋ゆき副社長が経営者の本音に迫る本連載。今回の対談相手は子供向け職業体験施設「キッザニア」を企画運営するKCJ GROUP会長の住谷栄之資氏だ。還暦を機に前職をリタイアしていた住谷氏は61歳でKCJ GROUPを起業し、「キッザニア東京」「キッザニア甲子園」を開業した。今年7月にオープンする「キッザニア福岡」ではスタートアップ、グローバル、先端技術を意識した体験を打ち出す。職業体験の意義やデジタルの領域への挑戦について語ってもらった。

住谷 栄之資氏/高橋 ゆき氏
写真/陶山 勉
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住谷 栄之資(すみたに えいのすけ)氏
1943年和歌山県生まれ。慶応義塾大学商学部卒業後、藤田観光に入社。直島開発プロジェクトを手掛ける。69年WDIに入社。取締役として「ケンタッキーフライドチキン」「トニーローマ」「ハードロックカフェ」など多くの海外レストランを国内で展開。2003年に社長を退任。04年にKCJ GROUPの前身であるキッズシティージャパンを設立。日本でのキッザニアのライセンスを取得し06年に「キッザニア東京」、09年に「キッザニア甲子園」を開業。

高橋ゆき氏(以下、高橋)この連載では、各分野で活躍されている経営者の方たちにビジネスのお話に加え、人生観や経営哲学などをお聞きしています。今日は経営者としての経験が豊富な住谷さんと対談できることを楽しみにして参りました。

住谷栄之資氏(以下、住谷)ありがとうございます。お役に立てるか分かりませんが、率直な思いをお話ししようと思います。

高橋よろしくお願いいたします。「キッザニア」は子供たちが職業や社会を体験できる貴重な施設ですね。私も息子と娘が小さい時に連れていって大変有意義な時間を過ごしました。住谷さんはそのキッザニアを還暦後に開業されたのですね。

住谷はい、61歳でキッザニアの企画運営会社を立ち上げました。この年代の人間としては異例だったと思います。

住谷 栄之資氏
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高橋新たな挑戦に乗り出した住谷さんの姿に勇気づけられ、刺激を受けた人も多くいたと思います。キッザニアに関わることになったのはどのような経緯からですか。

住谷私は大学卒業後、藤田観光に入社しました。4年半ほど勤めた後、大学の先輩に誘われ、今で言うスタートアップの役員になり、外食産業に携わります。米国で人気だった「ケンタッキーフライドチキン」のフランチャイズ(FC)加盟店になったのを皮切りに、ハンバーガーが中心の「ハードロックカフェ」、リブのバーベキューが目玉の「トニーローマ」、ニューヨークスタイルのステーキが人気の「ウルフギャング・ステーキハウス」など海外の人気店を日本に導入したり、イタリア料理の「カプリチョーザ」を国内外に展開しました。

 2003年、還暦を迎えた年に前職を引退しました。社長を務めていたので定年退職の必要はありませんでしたが、当時は60歳で仕事を辞め年金生活を送るのが一般的で、仲間もみな会社を辞めていたので、1つの節目だと考えたのです。

 しばらくたった頃、米国の友人から「メキシコで子供に職業体験をさせる人気の施設がある。日本で運営しないか」という提案を持ちかけられました。これまで手掛けてきた外食ビジネスとは全く別物で具体的なイメージを描けませんでした。そこで現地を視察するため、当時6歳と3歳の孫を連れてメキシコに飛びました。

 現地で驚いたのは孫の反応です。2人の孫は、言葉も通じないのにメキシコの子供たちにまざって一日中、色々な職業に挑戦し楽しんでいました。朝から晩まで夢中になっている姿を見て、「こうした施設をぜひ日本の子供たちにも体験してほしい」と考えました。こうして06年に「キッザニア東京」を立ち上げました。幸い、多くの来場者に恵まれ、東京以外にも施設を造ってほしいという声もあり、09年に「キッザニア甲子園」を開業しました。

高橋 ゆき氏
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