この連載では家事代行サービス・ベアーズの高橋ゆき副社長が経営者の本音に迫る。今回の対談相手はタニタの谷田千里代表取締役社長だ。体脂肪計や体組成計など「健康をはかる」計測機器の開発・販売を手掛けてきた同社は、その創業家3代目社長の下、食堂、企業・自治体向けの集団健康づくりプログラムなど「健康をつくる」サービスへと事業を広げている。次々と新事業を立ち上げる谷田社長のアイデアと発想の源泉について、また2017年から取り組んでいるタニタ流の働き方改革「日本活性化プロジェクト」について聞いた。

谷田 千里(たにだ せんり)氏 タニタ 代表取締役社長/高橋 ゆき(たかはし ゆき)氏 ベアーズ 取締役副社長
写真/陶山 勉
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谷田 千里(たにだ せんり)氏
タニタ 代表取締役社長
1972年大阪府吹田市生まれ。97年佐賀大学理工学部を卒業。船井総合研究所などを経て2001年タニタに入社。05年タニタアメリカ取締役、07年タニタ取締役を経て、08年5月から現職。レシピ本のヒットで話題となった社員食堂のメニューを提供する「タニタ食堂」や、企業や自治体の健康づくりを支援する「タニタ健康プログラム」などの事業を展開し、タニタを健康総合企業へと変貌させた。著書に『タニタの働き方革命』(日本経済新聞出版)。

高橋ゆき氏(以下、高橋)初めまして。実は私、10年ほど前に、あるイベントで「タニタ生活50日間体験」に挑戦したことがあります。昼はカロリーや塩分を控えたタニタ食堂のメニュー、夜はタニタの管理栄養士さんのご指導を受けた食事を取り続け、体も心も整い、ウェルビーイングの向上を実感しました。そんなご縁で今日は谷田社長とお会いするのをとても楽しみにして参りました。

 早速ですが、新型コロナウイルスの感染拡大から1年半が経った現在のタニタの状況を教えてください。

谷田千里氏(以下、谷田)グループ会社が展開する「タニタ食堂」と女性向けフィットネス「タニタフィッツミー」は店舗主体のビジネスなので、コロナの影響を受けて厳しい状況です。一方、健康計測機器事業は好調で、非接触体温計などが売り上げを伸ばしています。

 体温計は私が社長になった後、市場シェアが低迷していたので一度撤退しました。その後、体制を立て直し再参入して今に至ります。一定のシェアを得たので、新たに非接触タイプの商品を投入しようと動き、昨年初めに認可が下りたところでコロナ禍に直面しました。売り上げが上積みされ、その一方で出張などの経費が減ったため、直近の2020年度は増収増益を達成しました。

谷田 千里(たにだ せんり)氏 タニタ 代表取締役社長
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 今、力を注いでいる商品は熱中症指数計です。東京オリンピック・パラリンピックに向け、販売が拡大しています。競技のテレビ中継などで熱中症の危険性を示す「暑さ指数(WBGT)」が表示されると思いますが、それらはほぼタニタの熱中症指数計で計測したものです。

高橋アフターコロナに向けて、どんなことを考えていますか。

谷田ワクチン接種が進む今年の年末ごろには、アフターコロナと言える状況に近づいているのでしょう。けれど、絶対にビフォーコロナと同じ環境にはならないと思います。普通に出張に行けて、自由に会食してという状況には戻らないでしょう。リモートワークや出張の頻度が変動する中、どのようにマネージすれば売上高や利益を増やせるのか。変化する環境に向けてどう対応すべきかを考えなくてはなりません。

高橋 ゆき(たかはし ゆき)氏 ベアーズ 取締役副社長
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