社員全体の15%が個人事業主に

高橋17年からは「日本活性化プロジェクト」と題し、タニタ流の大胆な働き方改革に取り組んでいますよね。希望する社員はタニタでの仕事を続けながら独立して個人事業主に移行し、時間や場所の制約なしに働けるという画期的な仕組みです。時代を先取りしていますね。

谷田同プロジェクトへの参加を表明して、会社と合意したメンバーは一旦退職し個人事業主になります。就業規則に縛られないので、働く時間や場所を自分で選べます。業務委託契約を結んでタニタの仕事を続けつつ、社外に仕事の領域を広げることもできます。主体的に働き方や人生をデザインできるというのが、この仕組みのメリットです。現在、個人事業主は31人で、プロジェクトの対象となる社員全体の15%になっています。また、コロナ禍で正社員もリモートワークをできるようになりましたから、「いつでもどこでも働ける」点に関しては社員との差もなくなりました。

 この仕組みがこれから重要性を持つと思っているのは能力開発の部分です。新卒で入ってきた社員が毎日朝9時から夕方5時、週に40時間働いたからといって、それだけではなかなか一人前に育ちません。長時間労働を肯定するわけではありませんが、十分なノウハウや技術を習得した人材になるまでには相当な時間と努力が必要なのは確かで、自身の成長のために時には寝る間を惜しんで働きたいと考える若者もいるはずです。ところが今の日本は法律で残業を規制し、働く時間を制限しています。このままでは、日本はノウハウや技術を十分に継承できず滅びてしまうのではないかと危惧しています。若手社員の育成に悩んでいる企業は多いと思います。この仕組みがそうした企業の参考になればと思っています。

高橋この仕組みは私も経営者として大変興味があります。個人のアイデンティティを尊重しながら能力やアウトプットに対して会社が対価を支払うという、信頼関係をベースにした業務提携ですよね。いつか自社でもチャレンジしたいです。

 そこで質問なのですが、個人事業主でありながら「この会社の一員として働きたい」と思ってもらうには、会社の何を磨いたらいいのでしょうか。タニタの場合、「チームタニタの一員でいたい」と思わせるため、どのように魅力を向上していますか。

谷田個人事業主になった人にとって、この会社の求心力はどこにあるのか。それはやはり、タニタの事業内容とブランドだと思います。「世の中のためになることをやっているか」「仕事が楽しいか」「生きがいになっているか」ということが大事だと思います。例えば「誰かをだまして一緒にもうけよう」と言われても嫌でしょうし、売り上げ優先で「予算達成はどうなっているんだ」と問い詰めるような会社だと魅力は感じないでしょう。弊社はそういうことがありません。そうしたタニタらしさが魅力なのだと思います。