家事代行サービス・ベアーズの高橋ゆき副社長が経営者の本音に迫る本連載。今回の対談相手は、パケット定額制の海外用Wi-Fiルーターレンタルサービス「グローバルWiFi」を主力事業とするビジョンの佐野健一代表取締役社長兼CEOだ。新型コロナウイルス感染症の拡大で海外渡航者が激減し、6割もの売り上げを失ったが、いち早く経営を立て直し、2020年12月期の決算では黒字を確保した。コロナ禍に何を考え、どう行動したのか、そして今後の成長・発展を実現するためのプランを聞いた。

佐野 健一(さの けんいち)氏 ビジョン 代表取締役社長兼CEO/高橋 ゆき(たかはし ゆき)氏 ベアーズ 取締役副社長
写真/陶山 勉
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佐野 健一(さの けんいち)氏
ビジョン 代表取締役社長兼CEO
1969年鹿児島県生まれ。鹿児島商工高等学校(現樟南高等学校)を卒業後、91年に光通信に入社、トップ営業マンとなる。95年、ビジョンを設立し、電話回線の販売を開始。その後、法人携帯電話、電話加入権、コピー機など情報通信の領域で事業を拡大。2012年から海外用モバイルWi-Fiルーターレンタルサービス「グローバルWiFi」を開始。15年から訪日外国人旅行者向けに「NINJA WiFi」を展開。15年12月東証マザーズ上場、16年12月東証一部へ市場変更。著書に『経営は「進化」だ!起業から上場への道のり』(アチーブメント)がある。

高橋ゆき氏(以下、高橋)佐野さんとは経済団体の活動を通して、親しくお付き合いさせていただいています。今日は、普段あまりお聞きしないビジョンの経営について深掘りさせていただこうと、楽しみにして来ました。

 初めに、新型コロナウイルス感染拡大から1年半以上経った現在の状況を教えてください。

佐野健一氏(以下、佐野)ご存じのように、コロナ禍により、海外と日本の行き来はほぼ止まっています。ビジョンは海外渡航者や訪日外国人旅行者向けのパケット定額制Wi-Fiルーターレンタルサービス「グローバルWiFi」「NINJA WiFi」などを主力事業としてきましたが、それらの需要が激減し、売り上げは6割減りました。今はその他の事業に多くの経営リソースを回して、売り上げを取り戻すことに全力をを注いでいます。

 その中心は、当社の祖業であるスタートアップ・ベンチャー向けの情報通信サービスと、国内向けWi-Fiルーターレンタルサービスです。幸いなことに、国内向けWi-Fiルーターは、リモートワークやオンライン授業が増えたことで新たな需要が生まれつつあり、売り上げを大きく伸ばしています。

佐野 健一(さの けんいち)氏 ビジョン 代表取締役社長兼CEO
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高橋海外渡航者向けのグローバルWiFiを主力事業とするビジョンにとって、パンデミック(世界的大流行)は大きな脅威です。昨年、新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた時にはどのように受け止めましたか。

佐野早い段階から何カ国かへの渡航が止まり、影響が出ることは覚悟していました。過去に、韓国で中東呼吸器症候群(MERS:マーズ)が流行した際に、韓国への渡航が7割減になりました。感染症以外にも、2015年にパリで同時多発テロが起きた時には一時的にフランスへの渡航が止まりました。そのため、今回も同様のことが起きると考えていました。

 ただ、今のように全世界の往来が停滞するというのは想定外でしたね。それを覚悟したのは20年3月ごろです。ヨーロッパでコロナが猛威を振るうのを見て、「ワクチンや特効薬が開発されるまで渡航の制限は続く」「回復には3~5年を要するだろう」と考えました。

高橋早い段階から海外の行き来が滞ることを予想していたのですね。それを踏まえて、社員の方たちにはどんな方針を示しましたか。

高橋 ゆき(たかはし ゆき)氏 ベアーズ 取締役副社長
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