家事代行サービス・ベアーズの高橋ゆき副社長が経営者の本音に迫る本連載。対談相手は「働き方コンサルティング」を手掛けるワーク・ライフバランス社長の小室淑恵氏で、今回はその前編。これまでに働き方改革をサポートした企業は1000社以上。適正な労働時間を維持することで、社員のモチベーションが高まり、充実したワークとライフが両立できることを実証してきた。「働き方改革」へ賭ける思いや今後のチャレンジについて聞いた。

小室淑恵(こむろ よしえ)氏 ワーク・ライフバランス社長/高橋 ゆき(たかはし ゆき)氏 ベアーズ 取締役副社長
写真/陶山 勉
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小室 淑恵(こむろ よしえ)氏
ワーク・ライフバランス社長
1975年東京都生まれ。日本女子大学卒業後、99年資生堂入社。2年目で社内のビジネスモデルコンテストで優勝し、育児休業者の復職支援事業を立ち上げる。2005年に退社、06年にワーク・ライフバランスを設立。残業時間の削減と業績の向上を両立させるための「働き方改革コンサルティング」を企業や自治体に提供している。講演依頼は年200回以上。

高橋ゆき氏(以下、高橋)初めてお会いしたのは小室さんが2006年に起業して間もない頃でしたね。

小室淑恵氏(以下、小室)そうですね。私は長男を産んで3週間後に今の会社を起業したのですが、高橋さんもベアーズを立ち上げたのが娘さんを産んだ年だったと聞いて、「先輩がいた!」と、とても心強く感じたことを覚えています。気付けば、起業してもう16年になります。

高橋ついこの前のことのように思うのに、もうそんなにたつのですね。改めて、ワーク・ライフバランスの活動について教えてください。

小室業績を上げるための「経営戦略としてのワーク・ライフバランス」の実現を目指し、クライアント企業に対し働き方を根本から変えるようなコンサルティングサービスを提供しています。

 働く人はそれぞれライフステージが異なり、個別の事情や都合を抱えています。日本では残業も長時間労働もいとわず、がむしゃらに働く社員が評価され、それができない社員ははじき出されてしまう風潮がありました。働き方を転換すれば、時間や場所の制約を受けることなく多様な人材が活躍できます。社員が適正な労働時間でモチベーション高く仕事をすることでお客様にも良い影響が及び、業績も上がる好循環が生まれます。

 現在は30人のコンサルタントがいます。当社自身もワークライフバランスを実践することで、子育てをしやすい環境を整えています。そのため、社員の子供の数は社員数を上回っています。私は2児の母ですが、経営陣には3児の母、4児の母もいます。

小室淑恵(こむろ よしえ)氏 ワーク・ライフバランス社長
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高橋生後間もないお子さんを抱えながら16年間でコンサルタントを育て、ビジネスを成長させてきたのは素晴らしいことです。

小室私は12年に次男を出産しました。長男と次男の年齢差は6歳。保育園には12年間通ったことになります。子供のお迎えのため保育園へ18時15分までに行く必要があり、私自身がずっと時間制約を持ちながら働いてきています。私は年間200回ぐらい講演の依頼をいただくのですが、例えば地方都市で14時~16時の講演をお受けすると、子どもの保育園お迎えに間に合う飛行機に乗れないので「何とか13時~15時でお願いします」と交渉します。

 一般に、13時という昼食直後の時間はお客様の入りが悪く主催者は嫌がります。それでも私の講演に価値を感じて、交渉を受け入れていただくためには、「ワークライフバランスを主張するからには、自分の価値を上げ続けなくてはならない」と考えながら16年間駆け抜けてきました。

高橋クライアント企業に対しワークライフバランスを提案するだけでなく、小室さん自身もそれを実践してきたのですね。それが可能だったのは、しっかりと成果を出してきたからこそでしょう。

高橋 ゆき(たかはし ゆき)氏 ベアーズ 取締役副社長
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小室おかげさまで、当社はこれまでに1000社以上にコンサルティングサービスを提供してきましたが、残業30%減で営業利益が18%増加した企業、残業81%減で有給取得率4倍を実現しつつ利益率3倍となった企業など、成果がはっきりと表れています。