SDGs(持続可能な開発目標)が注目されるなか、気候変動やダイバーシティー(多様性)に対する企業の姿勢に厳しい視線が向けられるようになった。こうした流れの中で、人権問題への対応もこれまで以上に誠実さを求められている。1990年代から外務省と国連で、国際社会の活動と政策に深く関わってきた田瀬和夫氏に、今、経営者は人権についてどのように考え、対応すればよいのかを聞いた。

田瀬 和夫(たせ かずお)氏 SDGパートナーズ 代表取締役 CEO
写真/陶山 勉
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田瀬 和夫(たせ かずお)氏
SDGパートナーズ 代表取締役 CEO
1967年福岡市生まれ。東京大学工学部卒。92年外務省入省、人権難民課、国連日本政府代表部一等書記官などを歴任。「人間の安全保障委員会」事務局で、緒方貞子氏の補佐官を務めた。2005年国連に転じ、人間の安全保障ユニット課長などを務めた後、デロイトトーマツコンサルティング執行役員。2017年、コンサルティングファームとしてSDGパートナーズを設立。著書に『SDGs思考』(インプレス)など。

SDGsは近年、日本でも強く意識されるようになりましたが、密接に関連するはずの人権については、気候変動などに比べて、それほど意識されていないような気がします。そもそもSDGsと人権はどのような関係にあるのでしょうか。

 SDGsの169ある目標の中で「人権」という言葉が登場するのは1回だけですが、本来、人権はSDGsのベースにあるものなのです。というのも、第2次世界大戦後の国際社会において「平和・開発・人権」という流れと「環境と持続可能性」の流れがあり、この2つが合流してSDGsができたからです。

 前者の「平和・開発・人権」は、1945年の国連憲章に始まり、米ソの冷戦、冷戦後の各国の内戦を経て、2000年に「ミレニアム開発目標(MDGs)」が国連で採択されたのが一連の流れです 。一方、後者「環境と持続可能性」の流れは1980年代から始まり、87年には「環境と開発に関する世界委員会」の最終報告書で初めて「サステナビリティー」という言葉が登場しました。その後、92年リオデジャネイロ開催の地球サミット、97年京都議定書、2012年のリオ+20と続きます。リオ+20では、15年に期限を迎えるMDGsについても議論され、ここでいよいよ2つの流れが合流し「2030アジェンダ」、すなわちSDGsができたのです。