近年、新しいビジネスモデルや市場を開拓して、起業から短期間のうちに急激な成長を遂げるスタートアップが注目を集めている。米国ではGAFAが経済をけん引する一方、日本では米国ほどスタートアップの存在感がない。また既存企業が新規事業の立ち上げで苦戦するケースも多い。起業や新事業を成功させる秘訣をスタートアップ支援の専門家、田所雅之氏に聞いた。

田所 雅之(たどころ まさゆき)氏 ユニコーンファーム 代表取締役CEO
写真/陶山 勉
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田所 雅之(たどころ まさゆき)氏
ユニコーンファーム 代表取締役CEO
1978年生まれ。大学卒業後、外資系コンサルティングファームに入社し、経営戦略コンサルティングなどに従事。独立後は日米でスタートアップを起業し、シリコンバレーで活動した。2017年、スタートアップの支援会社ユニコーンファームを設立。その経験をまとめた著書『起業の科学 スタートアップサイエンス』(日経BP)を出版。他の著書に『御社の新規事業はなぜ失敗するのか? 企業発イノベーションの科学』(光文社)などがある。

コロナ危機以降、スタートアップを取り巻く状況はどのように変化しているのでしょうか。

 2021年の国内スタートアップの資金調達額は7800億円でした。私がスタートアップに関わるようになった10年ほど前にはその10分の1以下でした。また、当時のスタートアップというのは変わり者がやっている印象でしたが、ようやく世の中から正当に評価されるようになりました。スタートアップで働く社員の給与は上場企業と変わらないか、場合によっては上回るほどです。ストックオプション(新株予約権)などのインセンティブ制度もあって、優秀な人材がスタートアップに集まっています。

 また、地球温暖化やコロナ禍などの社会課題はスタートアップにとってはむしろ追い風となります。新たな市場を発見したり、投資先の企業を通じて社会によりよい変化をもたらすインパクト投資やSDGs(持続可能な開発目標)に最適化したりして、事業を立ち上げられるからです。