コロナ禍に見舞われた1年半の間に、感染対策と並ぶもう1つの世界的な潮流が加速した。それが、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の3つの観点で企業を評価するESG投資、およびSDGs(持続可能な開発目標)というサステナビリティの流れだ。ESG投資とSDGsビジネスの動向を長年調査研究してきた吉高まり氏に、今後の展望と中小企業が取るべき方策を聞いた。

吉高 まり(よしたか まり)氏
写真/陶山 勉
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吉高 まり(よしたか まり)氏
三菱UFJリサーチ&コンサルティング 経営企画部副部長 プリンシパル・サステナビリティ・ストラテジスト
三菱UFJ銀行、三菱UFJモルガン・スタンレー証券を兼務。米ミシガン大学環境・サステナビリティ大学院(当時:自然資源環境大学院)修了、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 博士(学術)取得。気候変動分野を中心とした環境金融コンサルティング業務に長年従事。慶應義塾大学大学院非常勤講師、日本UNEP協会理事、中央環境審議会地球環境部会臨時委員、内閣官房気候変動対策推進のための有識者会議メンバーなどを務める。

ESG、SDGsが重視されるなか、企業の意識はどのように変化してきたのでしょうか。

 サプライチェーン全体での温室効果ガス排出量をネット(実質)ゼロにするという米アップルの発表は、経営者の関心が高かったようで、それ以降「我が社はどうしたらいいか」という相談を受けるようになりました。アップルは2018年4月に自社の再生可能エネルギー(以下、再エネ)利用率100%を達成したのに続いて、20年7月、サプライチェーン全体でカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)を30年までに達成すると宣言したのです。併せて、世界中の製造パートナー110社以上に対し、自社製品の製造に使用する電力を再エネ100%にするよう要請したと伝えられています。

 日本では20年10月、菅首相が50年までのカーボンニュートラルを宣言して以来、再エネに取り組む姿勢が急速に変わってきました。それまで資源エネルギー庁では、再エネに対する世界の潮流を認識しつつも、安価で安定した化石燃料エネルギーは外せないという立場だったのですが、菅首相の宣言以降、姿勢が一変しました。