新型コロナウイルスの感染拡大は、消費者の購買心理や消費行動に大きな影響を与えている。また、ESG(環境・社会・ガバナンス)やSDGs(持続可能な開発目標)が注目される中、多くの企業が経営の見直しを迫られている。こうした転換期において、マーケティングやブランディングはどうあるべきか。日米両国の有力企業でマーケティングを指揮してきた音部大輔氏に聞いた。

音部 大輔(おとべ だいすけ)氏
写真/陶山 勉
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音部 大輔(おとべ だいすけ)氏
クー・マーケティング・カンパニー 代表取締役
17年間の日米P&Gを経て、欧州系消費財メーカーや資生堂などで、マーケティング組織強化やビジネスの回復・伸長をマーケティング担当副社長やCMOとして主導。2018年より独立し、現職。NHK、関西電力をはじめ、国内外の多様なクライアントにマーケティング組織強化やブランド戦略などを支援。博士(経営学 神戸大学)。著書に『なぜ「戦略」で差がつくのか。』(宣伝会議)、『マーケティングプロフェッショナルの視点』(日経BP)がある。

コロナ禍によって消費者心理や消費行動が大きく変化したと思います。今後はどのようなマーケティング戦略が求められるのでしょうか。

 コロナ禍や大災害のように著しく社会が変化したときに、新たな市場が生まれることは珍しくありません。しかし、平時においては、市場を創造するのはマーケティング担当者の役割です。この点を経営者にはよく理解しておいていただきたいと思います。現在はマーケティング戦略の転換期といえますが、まず、マーケティングの基本からお話ししていきましょう。

 「マーケティングって何?」と問われて、広告を作ったり、新商品を開発したり、価格をコントロールしたりすることだと答える人が多いかもしれませんが、これらはマーケティングを構成する活動であって、全容ではありません。マーケティングの本義とは、4P(Product、Price、Place、Promotion)、つまり製品、価格、流通、販売促進を通して市場を創造することにあります。