まず気候変動の基礎知識を深める

中小企業経営者は気候変動に対して何から始めればいいでしょうか。

 企業の業態や規模にかかわらず、まず気候変動について科学の視点から知識を深めることが大切です。なぜ、気温が上がり、それがどのように気候に悪影響を及ぼし、どのようなメカニズムで自然災害を引き起こすのか。そもそも、気温上昇の原因は何か。こうしたことはすべて科学の世界の話です。気候変動を自分事として考え、企業として対応するには気候変動に関わる基礎的な知識を身に付ける必要があります。

 「気候対応は大企業の課題であり、中小企業にはそんなことをする余裕がない」――。中小企業経営者にはこのような意識から脱却していただきたい。むしろ中小企業だからこそ、経営者の判断でできることは数多くあります。

 今の時代、あらゆる企業が、何らかの形でサプライチェーンネットワークに組み込まれています。そのネットワークを通じて、ゼロエミッションの要請が強くなってきます。中小企業だからこそ、世界の動きに注意していないと、いつ難問が降りかかってくるかしれません。そしてグリーンでいることは間違いなくビジネスの拡大に寄与することでしょう。

末吉 竹二郎(すえよし たけじろう)氏 国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI) 特別顧問、気候変動イニシアティブ 代表
写真/丸尾 透
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今後、新型コロナウイルスと気候変動の両方に対応しなければならない企業は、その在り方を根本から変えていく必要がありそうですね。

 新型コロナ感染拡大が従来の働き方や社員評価を変えたように、気候変動に対応することで企業はもちろん、社会も大きく変わります。欧州の各国では30年以降、ガソリンエンジン車の販売を禁止する方針を打ち出しています。これと同様の変化は、他の業界や企業にも起こりえます。15年から始まったサステナビリティーの潮流には、資本主義の見直しという側面があります。

 これからの時代に企業が生き残るためには、利潤を追求するだけでなく、社会や環境のためになるという、企業としての存在意義や理念が不可欠です。経営者はもちろん、社員のみなさんも「自社が何のために存在するのか」をじっくり考えてほしい。そして、様々な意思決定の場において、社会や環境に対する視点を取り入れていただきたい。その積み重ねが、企業の在り方を変え、世界を変えることになると信じています。

文・構成/寺島 豊

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