SDGsやCVSと並び経営におけるキーワードとして注目される「パーパス」。企業の果たす社会的意義を意味する言葉であり、その重要性は、コロナ禍によってさらに高まっている。武蔵野美術大学クリエイティブイノベーション学科教授、岩崎博論氏は「『パーパス』こそが成長と社会課題解決両立のカギになる」と話す。パーパスはなぜ今、注目されるのか、企業はどう取り組んだらいいのかを聞いた。

岩崎 博論(いわさき ひろのり)氏 武蔵野美術大学クリエイティブイノベーション学科教授
写真/陶山 勉
[画像のクリックで拡大表示]
岩崎 博論(いわさき ひろのり)氏
武蔵野美術大学クリエイティブイノベーション学科教授
ビジネスデザイナー。リベラルアーツと建築・都市デザインを学んだ後、博報堂で戦略立案や事業開発などに携わる。2021年から武蔵野美術大学に着任し、ストラテジックデザインを専門として、研究・教育活動、および実務に従事している。米イリノイ工科大学Institute of Design修士課程修了。京都大学経営管理大学院博士後期課程修了、博士(経営科学)。著書に『機会発見 ― 生活者起点で市場をつくる』(英治出版)のほか、佐々木康裕氏との共著『パーパス 「意義化」する経済とその先』(NewsPicksパブリッシング)などがある。

このところ「パーパス」という言葉がビジネスの現場で使われることが増えてきました。あらためて、パーパスとはどういう意味でしょうか。

 パーパス(purpose)を辞書で引けば「目的」という訳語が出てきますが、ビジネスの文脈ではさらに踏み込んで「社会的存在意義」と捉えるのが適切です。すなわち企業であれば、企業は何のために存在するのか、社会においてどのような責任を果たすのか、という意味になります。

似た言葉にビジョンやミッションがありますが、どう違うのでしょうか。

 諸説あるのですが、私たちは船のメタファー(隠喩)で説明しています。ビジョンやミッションは、企業がなりたい姿を一人称視点で表現した目標設定であり、その企業しか乗れない「小さな船」に例えることができます。それに対してパーパスは、あるべき世界を三人称視点で表現したものであり、共感する多くのステークホルダー(利害関係者)を乗せられる「大きな船」と言えます。

ビジョン/ミッションとパーパスの違い
ビジョン/ミッションとパーパスの違い
パーパスは、あるべき世界に共感するステークホルダー(利害関係者)まで乗せられる大きな船に例えられる(岩崎氏の共著書『パーパス 「意義化」する経済とその先』掲載の図をアレンジした)
[画像のクリックで拡大表示]