営業チームの育成に役立つとして話題の2冊の書籍『無敗営業 「3つの質問」と「4つの力」』『無敗営業 チーム戦略 オンラインとリアル ハイブリッドで勝つ』。その著者である高橋浩一氏が、書籍の内容をさらに深掘りし、経験の浅い営業担当者を成長させ業績を伸ばすためのノウハウを解説する。連載第8回は、顧客から情報を引き出す際に欠かせない質問力を高める方法を紹介する。

質問力は「土台づくり」と「切り込み」から
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 前回は、お客様に選ばれる理由をつくる上で、鍵となる「提案ロジック構築力」「質問力」「価値訴求力」「提案行動力」について解説しました。自社が選ばれる理由をつくるには、お客様からのヒアリングによって情報収集していかなければなりません。そこで重要となるのが「質問力」です。

「質問力」は、全部で4つのステップから構成されています。経験の浅い営業担当者を成長させ業績を伸ばすためのベースになるものとも言えます。

(1) 土台づくり(相手に対して、質問しやすい雰囲気を整える)
(2) 切り込む「聞く」(英語では、聞く行為を広く指す「hear」に相当)
(3) 深掘りする「聴く」(英語では、注意深く耳を傾ける「listen to」に相当)
(4) 具体化する「訊く」(英語では、こちらから尋ねる「ask」に相当)

 今回は、これら「質問力」の4ステップのうち、「土台づくり」と「切り込む『聞く』」について説明します。例えば、品定め気味で警戒心の強いお客様に対して、「土台づくり」なしでは、デリケートな事情や核心に迫る情報を聞き出せず、効果的な提案につながるヒアリングはできません。

 「土台づくり」のポイントは、「つかみとアイスブレイク」です。これにより、お客様が話しやすい雰囲気をつくります。

まずは信頼を得る努力を

 まず、お客様に信頼感を与える立ち居振る舞いを心がけます。スーツのシワや寝癖、靴の汚れなどは、お客様に悪印象を与えます。そのような乱れがないかどうか、訪問前に鏡で全身をチェックしておきます。お客様を訪問した際には、自然な笑顔を心がけて、大きな声で挨拶をします。ハキハキと話して、相手の言葉にしっかりと返答します。スムーズに話を進められるように、提示する資料やメモ用のノートはすぐに取り出せるよう準備しておきます。事前にかばんの中を整理しておくようにします。

 次に、自己開示をして相手に安心感を与え、お客様との心理的距離感を縮めます。これが「アイスブレイク」に当たります。お客様に対して聞きたいことを、自分の過去の経験やプライベートの近況などを絡めながら話題にします。例えば、生産性向上について提案をする場合、「最近、趣味の野球観戦のため、早く帰るようになりました。個人的にも、生産性向上は大事なテーマになっています」など、プライベートな話題を出して自分自身を知っていただくという具合です。

 最後に、30秒で相手に大きく印象づけることを意識します。例えば、初回の会社訪問の際にどのようなことから話を始めるか。相手に自社を印象付けるためには、よくある会社紹介から始めるのではなく、相手が一番聞きたいポイントもしくは相手に一番響きそうなポイントを30秒程度でしっかりと伝えます。相手の印象に残る「つかみ」のトークについて、自分なりのパターンを用意しておきます。具体的には、「先日、御社と同じぐらいの規模の会社様が、弊社のサービスを利用してある悩みを解決されて、とても喜んでいただけました」など、お客様の興味を引くエピソードを伝えます。

 こうして「土台づくり」でお客様と打ち解けてきたら、次のステップである「切り込む『聞く』」に進みます。ここでは、“枕詞”を上手に使うことがポイントになります。ここで言う枕詞とは、自分が質問しやすく、相手が答えやすくなるための言葉です。