税理士の岩松正記氏が三菱UFJビジネススクエア「SQUET」で連載しているコラム「取引したい会社、したくない会社」から、人気記事を転載する。今回は事業と取引先の依存度について。経営の安定と危機管理のバランスを考察する。

1社と深く付き合う会社、多くと幅広く付き合う会社
写真/Friends Stock stock.adobe.com
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1社専属は危険?

 先日、古くからの友人の実家が店じまいをしました。友人は会社員となって地元を離れているため当然に後は継がず、ほかに後継者もいないということでの廃業でした。その実家の形態は、昔よく見かけた特定の家電メーカー専属店だったのですが、言うまでもなく、最近は商売と言えるような状況ではなかったそうです。今はすっかり専属代理店制度などというものは見かけなくなり、友人が後を継がないというのも仕方のないことだったように思えます。

 昔は、代理店制度ほどいいものはなかったのでしょう。メーカーが売れる商品をどんどん供給してきて、極端なことを言えば、店側はそれを店頭に並べておくだけでいい。メーカーの成長に店側がおんぶに抱っこ状態で、何の心配もなく商売ができた時代だったと思います。

 しかし、今やそういった形態は崩れ、特定の取引先に依存することは非常に危険なものだと認識されています。私が証券マンだった頃ですからもう20年以上も前の話で恐縮ですが、当時、これから上場する会社の説明書きに、その会社の特徴として「売り上げの30%が大手流通会社某社との取引」との記載がありました。なぜ覚えているかというと、当該会社が上場を果たした数年後に大幅減益となり、その理由が大手流通会社との取引がなくなったためだったからです。上場会社でも一気に売り上げの3割を失うようなことがあるのだと、当時の私の記憶に強烈に刻み込まれたのでした。

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