数字、数字、数字

 現在の新型コロナの状況や経済の環境は確かに厳しいものですが、嘆いてばかりいてもしようがありませんし、ましてや政治家や官庁を批判していても、何の役にも立ちません。経営者は確かに新型コロナのことは気に掛けなければなりませんが、それよりも何よりも、自社の経営のことを気にしなければならない。国が何もしてくれないなどと文句ばかり言っていても仕方ないのです。

 では、どうしたらいいのか。それは、感情論で経営を語るのではなく、明確な数字を社員や取引先に示していくしかないのではないでしょうか。このような時だからこそ、例えばコロナの影響でここから3カ月先に売り上げは○%下がるだろう、しかし、これこれこういうことをすることでそのまた3カ月先には○%まで売り上げを回復させる、そして1年後には昨年比○%を達成させる、そのために当社は活動するから協力を願う、等々。果たして、そういう意見表明、覚悟のほどをどれだけの人に示しているでしょうか。

 ゴールを設定すると、それが強い動機付けになって高い成果が挙げられるというのは、学問の世界でも「目標設定理論」などという形ですでに言い尽くされています。目標となる具体的な数字を表すことは、経営者にしかできません。否、できなければならない。より具体的、より明確な数字を示すことができれば、わずかでも関係各位の不安感を減らすことは可能なはずですし、何よりもその数字に向けて動き出すことができる。達成できなかったら、できなかった原因を考えて修正していけばいい。要は、前に進むことが肝心なのです。

 経営者の役目は組織を運営することだけでなく、引っ張り上げることです。先頭に立ってかじ取りをして、「俺について来い」というような強いリーダーを演じるためにも、わかりやすい、明確な数字を掲げることが必要なのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

(三菱UFJビジネススクエア「SQUET」より2021年2月24日掲載記事を転載)

岩松 正記(いわまつ まさき)氏 税理士
岩松 正記(いわまつ まさき)氏
税理士
宮城県生まれ。東北税理士会仙台北支部所属。大学卒業後、10年間に転職4回と無職を経験し、その後、独立。元査察の税理士に仕えていたため、税の世界の裏事情にも詳しい。主な著書に『経営のやってはいけない!─残念な会社にしないための95項目』など。
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