税理士の岩松正記氏が三菱UFJビジネススクエア「SQUET」で連載しているコラム『取引したい会社、したくない会社』から、人気記事を転載する。今回は、根性論は決して馬鹿にはできない。今のような厳しい経営環境だからこそ、経営者の方々は今一度、自分が汗水たらして働いていた時のことを思い起こしてみてはいかがでしょうか、というお話。
ユーチューバーも努力している
今年に入って話題になっている、「Clubhouse(クラブハウス)」というSNSアプリがあります。これは音声を使った会員制交流サイトで、TwitterやFacebookの音声専用版とでもいうようなものです。今のところ招待制で、しかもiPhoneでしか使えないこともあり、爆発的に広まっているというわけではありませんが、それでも有名人と一般の人が音声で交流できる点などが魅力的で、私もラジオ代わりに音声を楽しんだり、時々、話し合いに参加したりしています。
そんな中、ある有名ユーチューバーと交流することができ、非常に興味深い話を伺うことができました。ユーチューバーとは、動画配信サイトのYouTubeに自作の番組を投稿・運営している人のことで、中には数億円も稼ぐ人がいることから、ここ数年、子供たちの「将来なりたい職業」の上位にもなっています。そのような有名ユーチューバーとの会話で感じたのは、とにかく、たくさん努力をしている、ということでした。
誰も真似できない
私はそれまでその方をまったく知らなかったのですが、実はYouTube界ではかなりの有名人で、チャンネル登録者数は数十万人、アップしている数百の番組の再生回数は数億回にものぼるというスゴイ人でした。YouTubeは再生回数が伸びるとそれに広告がつくことで収益が上がる仕組みになっているのですが、それだけ多くの人に見られていると、毎月数百万円もの広告料が入ってくるとのこと。もちろん、ここまで来るのはそう簡単なことではなく、今のような状況になるのに1年近くかかったそうです。番組の長さは数分から長くて20分以内のものですが、それを毎日制作して配信しています。ネタ探しのために朝刊数紙に目を通し、ほかの有名ユーチューバーの番組チェックも欠かさないとのこと。さらにYouTubeでは暴力表現や他人を不快にさせるような投稿は規制されているので、その辺りの表現にはかなり気をつけているそうです。正直、いわゆるユーチューバーと呼ばれる人々にはそれまであまりいい印象を持っていなかったのですが、直接話を伺って、その偏見はまったくなくなりました。