税理士の岩松正記氏が三菱UFJビジネススクエア「SQUET」で連載しているコラム「取引したい会社、したくない会社」から、人気記事を転載する。今回は企業において自己防衛力を高める方法について。「社長の知恵をいかに使うか」が試されます。

想像力にたけている会社、想像力が乏しい会社
写真/xy stock.adobe.com
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危機管理の教訓

 ロシアとウクライナの話題が世界中を席巻しています。少しはコロナ禍についても関心を持ってもらいたいと思うくらい、戦争とはあまり関係のない市井の人々まで口々に話題にしています。ロシア在住のロシア人にいろいろ聞きたいところですが、メールの検閲等で迷惑がかかってはいけないと思い、私もあまり積極的に情報を取りには行っておりません。とはいえ、メールした何人かの意見も分かれており、やはり世の中はドラマのように勧善懲悪とはいかないものだと思っています。

 ただそうは言っても、武力なり暴力なりに対抗するには結局のところ、こちら側もある程度の武力を持たなければならないというのが今回の教訓だと思います。もちろんこれは国の話なので、自分の身の回りのことに当てはめてみれば、競合相手から顧客を守るために取引内容を常に精査して関係を強固なものにするとか、従業員が退職したり引き抜かれたりしないよう雇用環境を整える等々、いわゆる自己防衛力を高めるしかない。今回の災禍を自分の会社のことと捉えて、今すぐにでもできることはたくさんあるのではないでしょうか。

危機管理は想像力で

 拙著『経営のやってはいけない!』にも書いたのですが、私はある社長から「会社を潰す方法を考えなさい。それが最大の危機管理につながる」と教えられました。詳細はここでは述べませんが、会社にとっての危機とは何か。すぐに思い浮かぶのは「倒産」でしょう。では、どのようなときに自社は倒産するのか。このことについて、私は講演等で参加者にワークを行ってもらうようにしているのですが、これが意外とできない。なぜなら、常日ごろから自社が倒産することを思い描いているような経営者など、ほとんどいないからではないかと考えています。

 「自社が倒産するだなんて縁起が悪い」と、普通の経営者なら思って当然。わが国には、不吉なことや起こってほしくないことは言葉に出さないようにするという、言霊信仰があります。いわゆる「いみことば(忌詞、忌み言葉)」というものですが、これは会社経営の現場でも当然に存在するものです。それゆえ、会社の方針に異を唱えれば「マイナス思考はいかん」などと言われるのは日常茶飯事で、起こってほしくないことは考えないという「正常性バイアス」は、会社の中はもちろん世の中のあちこちにはびこっています。

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