税理士の岩松正記氏が三菱UFJビジネススクエア「SQUET」で連載しているコラム『取引したい会社、したくない会社』から、人気記事を転載する。今回は、ビジネスの存続に関して重大局面を迎えたときに、多くの場合やめるという選択肢はできるだけ考えず、何とかして事業を継続しようとする。それが経営者の矜持(きょうじ)ではないか、というお話。

継続することを選択する会社、やめることを選択する会社
写真/Rawpixel.com stock.adobe.com
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五輪は無事終了

 開催までいろいろと騒がれていた東京オリンピックですが、無事開催され、終了しました。無観客になったり開会式や閉会式のコンテンツに関する批判も聞こえてきたりしたものの、日本選手団の活躍がすべてをかき消して、結局「やってよかった」という意見が大半を占めているように思えます。同時期に新型コロナウイルス感染症の陽性者数が増加したことで五輪開催を批判する声もありますが、政府としては私権制限ができない以上、ワクチン接種と病床確保を進める以外に対策はないと個人的に思っています。それゆえ、私たちは自分で自分の身を守るしかない、それこそ誰に頼るでもなく、自己判断・自己責任で行動するしかありません。

 これは会社経営も同じで、いろいろな支援や補助金なども、情報収集してその存在を知るのはもちろんのこと、該当するかどうかも自分たちで判断して、申請するしかない。やるもやらないも経営者次第です。

コロナ禍で売り上げを伸ばすのは?

 コロナ禍の中でも、着実に売り上げを伸ばしている企業は存在します。しかも、特に新しいことを始めたわけではなく、既存の枠内で、むしろコロナ禍の特需を受けていると言えるところさえあります。筆者の周囲では、自動車教習所やタクシー・トラック運送といった陸運関係、農業関係の会社が大きく売り上げを伸ばし、公共事業を請け負う土木関係でも好調な会社があります。そういったところに共通している点は、結局、社長が慌てず焦らず、本業をしっかり行っているかどうか、つまりは自分の考えを持っているかどうか、これに尽きるようです。残念ながら、営業時間の短縮や休業を自治体から要請されている飲食業はそうもいきませんが、こういうときだからこそ、腰を据えて本業をしっかりと行い、事業に集中する。売り上げが好調な経営者の話を聞いていると、焦っていろいろ手を出すことが決して得策ではないのだなと思ってしまいます。

 今やっている事業を、不景気だからやらない、などという選択肢がない以上、いかに物事を行っていくか、ひいては、いかに事業を継続させるかを第一に考えて行動することこそが、社長の使命です。言い尽くされた言葉ではありますが、すべての責任は社長にあるのです。

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