たたき上げの次は禅譲

 しかし面白いことに、たたき上げの創業オーナーの事業を承継する者は、多くの場合はその一族であり、その地位は禅譲されるものです。それゆえ、たたき上げの人物から見ると、安易にその地位を手に入れたとして、後継者を軽んじることが多々あります。それがよくあるお家騒動につながるのですが、これを防ぐには、引き継ぐ側の我慢と辛抱という、たたき上げとはまた違った努力が必要になります。

 私は、たたき上げの創業者と禅譲を受ける後継者との間に入ることが非常に多いのですが、必ず、後継者の方に「まずは黙って受け入れましょう」と言うことにしています。第一に、事を荒立てないためではあるのですが、第二には、禅譲者にはたたき上げの厳しさが理解できないので、我慢することで、少しでもたたき上げの苦労を感じてもらうことが円滑な事業承継に必要だと思うからです。あとは時間が解決してくれる。だからこそ、焦らず、じっくり、我慢する。たたき上げの創業者を理解することが、禅譲者の利益になると信じているのですが、いかがでしょうか?

(三菱UFJビジネススクエア「SQUET」より2020年9月24日掲載記事を転載)

D-Com会員登録のご案内

会員登録された方に、メールマガジンで新着記事、新連載のご案内、その他ビジネスに役立つお得な情報を無料でお送りします。会員限定記事も今後続々登場する予定です。ぜひご登録ください。
D-Com会員登録はこちら