人材育成に悩む経営者・管理職からよく相談されることの1つが、部下のモチベーションの上げ方です。特に、世代の違う部下(実は年上の部下もこの対象になりがちです)とのコミュニケーションで、この相談を受けることが多いのです。マネジメントにおいて「上司の役割の1つは部下のパフォーマンスを最大化することにある」という視点から考えれば、部下のモチベーションを上げるノウハウは身に付けておくべき。その上で、必要に応じて適切なコミュニケーションを取り、部下のやる気スイッチを押せることが重要です。私の経験上、仕事において人がモチベーションを駆り立てられる要素で大きいのは、「思いが満たされる」と「承認」の2つだと思っています。今回は、それぞれについてお伝えしていきます。

部下のモチベーションを上げるコミュニケーション術
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部下の仕事に関わる思いを知る

 モチベーションを上げる要素1つ目の「思いが満たされる」とは、言い換えると「自分が大事にしていることや、求めることが満たされる」ということです。

「思いが満たされる」とは、言い換えると「自分が大事にしていることや、求めることが満たされる」ということ

 誰もが仕事をする上で持っているこうした思いが「満たされた状態になる」もしくは「満たされそうな期待が持てる」ことは、モチベーションを上げる分かりやすい鍵となります。よって、まずは部下が「仕事において大事にしていることや求めていること」を正しく知っていることが基本となるわけですが、ご自分や自社の管理職は直属の部下「全員」について、こうしたことを把握できているでしょうか?

 あらためて部下と話をしてみると、上司が分かっている気になっていた認識が全然違っていたというケースは実は相当多いのです。こうした情報は、部下とのコミュニケーションアプローチを決める上で大事なポイントですので、ズレがないことが重要です。これを機会に、確認も含め、上司と部下で「仕事において大事にしていることや求めていること」などについて話す場の設定することをお勧めします。

 また、若い人は、自分の思いというものがまだ自分の中で整理できていないこともあります。そういう場合は、「やりがいを感じる瞬間や、うれしかった仕事、楽しかった仕事」などを聞いてみて、「なぜ、うれしかったのか。どんなところがツボだったのか」などと話をしてみると、きっと部下の心の中にある鍵を導き出すことができるはずです(※今回も最後に、若い部下とのコミュニケーション用速攻ツールを用意してあります)。

 そうして次が、認識をすり合わせたこれらの情報を部下のモチベートにいかに活用していくかです。具体的には、任せる仕事、やるべき仕事や目標について、それらが部下の仕事に対する思いや求める対価にどうつながるのかを話してあげるようにします。

 例えば、「高い営業成績を上げること」という目標1つを取っても、部下それぞれに話をする際に、様々な結び付けのアプローチが可能です。

・「稼ぎたい部下」 ⇒インセンティブにつながる話
・「責任ある仕事を任されたい部下」 ⇒高い業績が信頼向上につながり、重要顧客を任されるようになるという話
・「仲間に貢献したい部下」 ⇒高い業績を上げ、その手法を整理・紹介することで、後輩指導にもつながるという話

 こうした話の前提となる部下の思いを正しく理解していない上司は何をしてしまうかというと、例えば、出世に全く興味がない部下に「この仕事が成功したら昇進もあるから頑張ってくれ」などと言ってしまう。上司は部下のモチベーションを上げるつもりなのですが、部下からすると「別に……」となるわけで、当然上司が期待するモチベート効果はほぼ期待できません。