部下をモチベートする「褒め方」2つのコツ

 人のモチベーションを上げるための2つ目の鍵となる「承認」。その代表的なものが人材育成ノウハウとして必ず取り上げられる「褒める」ということです。部下を持つ人であれば誰もがその重要性は知っていますが、一方で「褒めるのは苦手」「うまくできない」と悩む声もよく聞きます。部下をモチベートする「褒め上手」となるコツは「ポイント」と「タイミング」の2つにあります。

 まず「褒めるポイント」についてです。

 若いビジネスパーソンからこんな話を聞くことがあります。「うちの上司は、結果を一緒に喜んでくれるし、褒めてもくれます。でも、自分がこだわっていた部分には気づいてくれないし、褒め方が一辺倒なのであまりうれしくないんですよね……」。その一方で、上司の方に「部下を褒めていますか」と聞くと、「私は部下によく声を掛けていて、いつも褒めるように心掛けているので、問題はありません」という具合です。

 このような残念なすれ違いを起こさない鍵は、「褒めるポイント」にあります。仕事や取り組みの「結果だけ」を褒めるのではなく、そこにつながった具体的な行動やプロセスを引き合いに出したり、部下がこだわっている部分や強みが生かされた部分に触れるようにしたりすることを心掛ける。このひと工夫によって、部下は「ちゃんと」自分の仕事ぶりを見てくれていると感じられるので、「結果だけ」への称賛以上のうれしさや充実感を得やすくなり、モチベーションが高まります。自分だったら、上司にどのような表現で褒められると、うれしさが増したり、やる気がかき立てられたりするかを想像してみると、具体的に触れるべきポイントをイメージしやすいかもしれません。

 次に、もう1つのコツ「褒めるタイミング」についてです。何事もタイミングが大事ですが、「褒める」も例外ではありません。その判断基準としては「鉄は熱いうちに打て」をイメージするとよいでしょう。つまり、部下自身が自分の成果を最も喜んでいる時に「褒める」ことを心掛けます。テレワークで勤務時間帯が違ったり、声の届く距離にいない部下の場合、今度会った時に褒めるのではなく、本人のところへ足を運んでみたり、その場で一本電話を掛けたりするのです。こういった承認コミュニケーションのひと手間が、部下の喜びや手応えをさらに強めることにつながり、「次も頑張ろう」と思わせるモチベート効果を押し上げます。

 また、若手など経験が浅く自分にまだ自信がない部下の場合は、ささいなことでも褒めてその回数を意図的に増やすことで小さな承認コミュニケーションが積み上がり、それが徐々に自信になっていきます。逆にポテンシャルもあり期待値が高い部下に対しては、あえて褒めることを少し控えることで、期待してくれている上司に認められたい、褒めてほしいという気持ちが強くなり大きなモチベーションになったりします。回数を増やす、逆にあえて控えめにするという手法も「褒めるタイミング」の使い分けです。

 ちなみに、「褒める」を控える時に必要なのは、上司から部下にその思いを一言伝えておくことです。何も言わないと「上司は自分を見てくれてない」と部下は不安、不満に感じます。「今回の結果はちゃんと見ているけれど、期待しているからまだこの程度では褒めない。まだまだできるはずだから、その時までお預けだね」。こんなふうに伝えるだけでも随分と違います。

 このように「褒め上手」になるための2つのコツ「具体的なポイントを褒める」「ベストなタイミングで褒める」を実践するためには、日頃から、部下をしっかりと見守る必要があります。部下に関心を持ち、注意を払っているからこそ、上司は褒めるべきポイントやベストタイミングが見極められるのです。つまり、前回のコラムでお伝えしている「部下を観る」意識が高く徹底されている上司ほど、部下を上手に褒められることになります。

 最後に、経営者の皆様は、管理職が部下を褒めることは推奨していると思いますが、皆さんは幹部社員の方たちを褒めたり、分かりやすい言葉で感謝を伝えねぎらうようにしたりしていますか? 年齢や役職が上がると社内で褒められることは減りますが、誰しも褒められるのはうれしいもので、それはたとえ幹部であっても同じです。幹部社員でも上司から褒められ、感謝されてモチベーションを高く保てている組織は、雰囲気が違います。これは経営者にしかできない承認コミュニケーションなので、ぜひ、率先して実践してみてください。

速攻活用ツール第3弾

 今回お届けする速攻活用ツールは、「モチベーション推移グラフ」です。横軸に対象期間を設定。その間にモチベーションがどう推移したかグラフ化し、変化点や目立つところにその要因となったトピックスを書いてもらいます。そして、このシートを見ながら上司と部下でコミュケーションをとり、モチベーションが上下する要因を分解し、理解していくというツールです。下のサンプルを、作成する際の参考にしてください。

御供田 省吾(ごくでん しょうご)氏 組織営業総研 代表
御供田 省吾(ごくでん しょうご)氏
組織営業総研 代表
キーエンス入社後、一貫してコンサルティング営業に従事。自ら考案した営業手法が「現場発の売れる仕組み」として全社的に紹介されるなど、独自の視点からのコンサルティング営業スタイルを確立。同社の営業エリア責任者を経て、日本最大級の不動産情報サイトを運営するLIFULL(旧NEXT)に入社。若手が成果を出しながら成長する組織を独自の手法でつくり上げ、次世代の現場マネージャーを排出した。同社営業部門責任者を経て、人・組織の成長がクライアントの業績向上につながるよう支援をするコンサルタントとして組織営業総研を起業、現在に至る。
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