コロナ禍や採用難、働き方改革やパワハラ防止など、若手を育成する環境は大きく変化しています。従来のやり方では通用しない時代になり、管理者や先輩社員からの悩みも増えています。今回は新人育成で普及しているメンター制度について。効果が十分でなく、制度に対する疑問の声も少なくありません。

【お悩み相談】「新人育成、メンターは必要?」
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悩み:4月から新卒を迎えます。メンターをつけるべきでしょうか?

 コロナ禍もあり周囲のサポートの必要性は認識していますが、効果に対する疑問やメンターの負担を懸念する声も社内にはあります。もし、必要なら、どのような人選をするのが良いでしょうか?

(43歳、食品製造業)

アドバイス:どのようなサポートが必要かを明確にしましょう。

 新人へのサポート体制を整えるのは必要ですが、「メンター」というキーワードにとらわれず、「どのようなサポートが必要か」を明確にするのがポイントです。また、1人に任せるのではなく、複数人で役割を分担したチームによるサポートをお勧めします。

 では、詳しく説明していきましょう。

そもそも、メンターを置くのはなぜ?

 新人育成のためメンター制度を導入する目的は「新人がスムーズに仕事や職場になじみ、より早く活躍できる人材になるようサポートするため」です。メンターを置くかどうか検討する上で一番大事なのはこの「目的」です。メンター自体は目的を遂行するための「役割」の1つにすぎません。

 メンター制度がうまく機能していない組織では、メンターを置くこと自体が目的になってしまい、「何のためにメンターを置くのか」「メンターの役割は何か」という本来の目的が、かなり漠然としている傾向にあります。上司が「まあ、いろいろと面倒をみてやってくれ」と大ざっぱに任せるのが、その典型例です。そのためメンターは仕事のやり方から、人間関係の構築、処世術、メンタルケアまでかなり広範囲に教える羽目になり、当然の成り行きとして、サポートも大ざっぱになってしまいます。

 しかし、経営幹部・上司がメンターに期待しているのは、決して大ざっぱなサポートではないはずです。まず重要なのは、経営幹部・上司がメンターを置く目的を見誤らないことです。その上で、誰にどのように任せるべきかを考えていきましょう。

まず必要なサポート項目を整理する

 まずはどのようなサポートが必要かを整理して箇条書きにします。この過程で、新人の年齢に近い若手の意見も取り入れるとベストです。上司の視点だけでは気付けなかった要素のヒントが得られるはずです。社内に若手がいなければ、家族など同世代の人の話を聞くだけでも参考になると思います。

 新人サポートに必要な要素が整理できたら、誰に任せるかを決めます。このとき、重要なのは「新人にとって、誰が担当するのがベストか」という人選基準です。

 一方、「時間が取れそうな人は誰か」という基準で担当を決めるのはよくある悪い例です。新人サポートの目的を考えれば、これが適切な基準ではないのは明白です。また、同様に「年齢の近い先輩社員に任せる」のもベストな基準ではありません。もちろん、先輩として後輩を気にかけるサポート自体は大切であり、必要です。しかし、まだ一人前ではない、もしくは一人前になり立ての経験の浅い社員に、新人サポートの中心的役割を任せても、うまくいくはずがありません。自分自身の職務をまっとうするのが精いっぱいなのに、メンターの責務も両立できるかどうか考えてみれば、その判断が適切でないのは明らかです。