なお、必要なサポートの要素を書き出してみたら「これら全てを1人に任せるのは大変だな」と気づくこともあると思います。これは「全般的に新人の面倒を見てほしい」と、大ざっぱな任せ方をしている場合には見えてこない大事なポイントです。もし、実際にこのような状態になったら、2つの選択肢があります。「サポートする要素を1人でも対応できる量に減らす」「要素は減らさず、対応する人数を増やす」のどちらかです。どうしても人数が少ない組織の場合は前者を選択せざるを得ないのですが、できるだけ人数を増やす後者のチーム制をお勧めします。

チーム制でサポートするメリットと注意点

 サポートに必要な要素が多くない場合でも、新人のサポートは1人のメンターに任せるのではなく、チーム制がお勧めです。

 理由は以下の3つです。

(1)「新人にとって誰がベストなのか」という基準で考えると、全てのサポート要素の適任者が同一人物になる可能性は低いため
(2)1人に任命した場合、相性が合わないリスクがあるため
(3)複数人で見守ることにより、様々な情報の見逃しを防ぐため

 さらに、コロナ禍によってテレワークが増え、社員同士が顔を合わせる機会が減っています。この状況下で、1対1の関係を中心としたサポートでは新人にとってクローズドな状態が発生しやすくなります。これは、新人の育成にとってあまり良い状態ではありません。

 また、若手の悩みとしてテレワークが増えてから目立つのが「相談がしづらい」という意見です。メンターとして1人を割り当ててしまうと、新人としてはその人に相談しなくてはならないという心理的制限が掛かってしまうケースも想定されます。一方、チームでサポートする体制であれば、いろいろな人に相談を持ち掛けやすいはずです。相談や悩みの種類によって、話しやすい人や良い回答を得られる人が違うので、その意味でも複数人で対応した方がベターです。

 ただし、チーム制でのサポートでは1つ注意が必要です。役割を明確に分担されている一方、自分の担当以外には関わらない縦割りの弊害を生みやすいからです。分担はあくまで運用面の責任を明確にするためのものです。ある役割に対して担当者が中心に役割を果たしながらも、チームのほかのメンバーやチーム以外の社員、組織全体で新人を気にかけ、声掛けなどを積極的にしていきましょう。

 最後に、今回のアドバイスに賛同していただき、チーム制でのサポートを実践するのであれば、定期的にミーティングをして、新人の状態とサポート状況を共有するようにしてください。チームでサポートしてもらえるのは、新人にとっても心強いですが、半面、チーム内で情報や認識が共有されていなければ、新人にとっては非常にやりづらく逆効果になりかねません。また、このミーティングには、必ず組織のトップが参加してください。決してサポートチームに丸投げしないようにしましょう。

次回も皆様から寄せられた質問に回答しながら、若手を生かすノウハウをお届けしていきます。本コラムで取り上げてほしいお悩みがございましたら、こちらより、ご投稿ください。皆様からのお声をお待ちしております。
悩みの投稿
御供田 省吾(ごくでん しょうご)氏 組織営業総研 代表
御供田 省吾(ごくでん しょうご)氏
組織営業総研 代表
キーエンス入社後、一貫してコンサルティング営業に従事。自ら考案した営業手法が「現場発の売れる仕組み」として全社的に紹介されるなど、独自の視点からのコンサルティング営業スタイルを確立。同社の営業エリア責任者を経て、日本最大級の不動産情報サイトを運営するLIFULL(旧NEXT)に入社。若手が成果を出しながら成長する組織を独自の手法でつくり上げ、次世代の現場マネジャーを輩出した。同社営業部門責任者を経て、人・組織の成長がクライアントの業績向上につながるよう支援をするコンサルタントとして組織営業総研を起業、現在に至る。
D-Com会員登録のご案内

会員登録された方に、メールマガジンで新着記事、新連載のご案内、その他ビジネスに役立つお得な情報を無料でお送りします。会員限定記事も今後続々登場する予定です。ぜひご登録ください。
D-Com会員登録はこちら