コロナ禍や採用難、働き方改革やパワハラ防止など、若手を育成する環境は大きく変化しています。従来のやり方では通用しない時代になり、管理者や先輩社員からの悩みも増えています。今回は、新人・若手に時間管理を徹底させる方法について、読者からのお悩みに回答していきます。

【お悩み相談】「新人・若手に時間管理を徹底させたい」
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悩み:正しい時間管理スキルを身につけさせる良い方法はないでしょうか?

 4月から新入社員を迎え、人事異動で若手も入れ替わりました。コロナ禍で導入したリモートワークも定着し、目が届かないことも多くなりました。メールやチャットで細かく確認するのも限界を感じています。早く自分で時間管理ができるようになってほしいと思います。

(45歳、ITサービス業)

アドバイス:「時間管理に必要な感覚」が身につくよう指導するのがポイントです。

 「時間管理スキル」よりも「時間管理に必要な感覚」が身につくよう指導しましょう。この感覚が上司と同レベルになれば、期待通りのタイムマネジメントができるようになるはずです。

 では、詳しく説明していきましょう。

時間管理に必要な3つの感覚

 若手が自分で時間管理ができるように指導する際には、「(上司・先輩は当然身につけている)時間管理に対する感覚がまだ身についていない」ことを前提とすべきです。まず、この点に注意が必要です。時間管理に対する感覚とは、「仕事に必要な時間の感覚」「仕事の優先度判断」「仕事量の全体感」の3つです。なお、中堅社員でもタイムマネジメントが苦手な人はこれらに課題がある場合が多いです。

 1つ目の「仕事に必要な時間の感覚」について説明します。上司・先輩は当たり前に持つ「個別の仕事にどのくらいの時間がかかるか」という感覚は、若手はまだ身につけていません。その結果、「何となく取り組んでみたら想定以上に時間がかかってしまい、ほかの仕事に影響が出てしまった」という事態が起こりがちです。

 ですので、最初のうちは、どのくらいの時間で仕上げる仕事なのかを併せて指示するようにしましょう。部下はその仕事に要する時間の感覚が事前に持てるようになります。さらに、その仕事を終えた時、実際にかかった時間を確認しましょう。そうすれば、上司の時間感覚と部下の実力のギャップを把握できるので、次の指示を出す時の参考になります。部下の経験が積み上がってきたら「この仕事にはどのくらいの時間がかかるイメージを持っていますか?」と問いかけてみるのも、時間感覚を磨く指導として効果的です。

 2つ目の「仕事の優先度判断」は、若手にはまだ難しいことは分かっていると思いますが、ついこの点を忘れて仕事を指示してしまいがちです。そのため後になって、「なぜ、まだ取りかかってないの?」「言われなくても、最優先事項だと分からないの?」と注意したくなるような事態が起きるのです。部下には「目の前の仕事(直近に依頼された仕事)から手をつける」「すべきことよりできそうなことから始める」といった傾向が見られます。こうした事態を防ぐために、仕事を依頼するときは必ず、優先度も併せて伝えるようにしましょう。「これは最優先でやってね」「これは本日中で大丈夫。急ぎの仕事があれば、それが終わってからでもいいよ」という具合です。また「優先度が高い」仕事を依頼する時は、「今は何をやっているの?」と繁閑を確認し、それを踏まえて、優先度を指示するとなおよいです。

 3つ目は「仕事量の全体感」です。不器用な部下は特にですが、自分の現状やその日の仕事量などを俯瞰(ふかん)して判断できない傾向があり、パンクしがちです。要領の良しあしも考慮しながら「今、どんな仕事を抱えているの?」「今日の仕事は何が残っている?」と声掛けして、周囲が仕事のバランスを「観て」あげるようにしましょう。

 この3つの感覚が身につくように注意しながら職場内訓練(OJT)を重ねて、「決められた時間内に、求められる仕事をする」という意識を習慣付けていきます。特にこの「決められた時間内に」という部分が大事で、時間管理がうまくできない部下は、この意識が弱い傾向があるので要注意です。例えば、80%くらいの仕上がりでよい仕事を、過度にこだわり、ムダに時間をかけてしまうのがよくあるケースです。前段でお勧めした「仕事を終えたとき、実際にかかった時間を確認する」作業で、時間管理に課題があるか否か、気づけるはずです。