現場の上司として自分の組織が目指す姿を示す

 経営者の皆さんは、自分の会社をどのような会社にしたいかという目指す姿のイメージを明確に持ち、それを社是やビジョンなど様々な形で社内へ提示しておられることでしょう。そして、幹部や管理職には役職者として任された組織の在り方を自身で考え、それを実現してほしいと思われている方が多いのではないでしょうか。

 ところが、幹部や管理職クラスで自分の組織について「〇〇な組織にしていきたい」という明確な意思やイメージを持ち、部下と共通認識化できている人はそう多くありません。ほとんどが会社の掲げるものを漠然と自分の組織に当てはめていたり、何となくのイメージや思いは持っているけれども、明確に言語化できていないために曖昧な表現や当たり障りないものになってしまったりしています。せっかく組織を任されているにもかかわらず、どんな組織にしたいかという現場の上司としての意思を明確に持てずにいるのはもったいない話です。そこで、まずは組織の目指す姿を現場の上司それぞれが自分の組織において明確にして、共通認識にできるようにしていくわけです。

 ちなみに、私がベンチャー企業でマネジメントをしていたときに、全社の掲げるビジョンなどに沿いながら、独自に組織が目指す姿としていたものはこういう内容です。

①楽しくやりがいを持って働きながら、高い成果を上げ続ける
②一人ひとりが自ら考えて徹底した行動を継続できる
③優秀な人材を他部署へ輩出する部署になる
④正しく頑張っている人が不公平を感じることがない
⑤個人のやる気を呼び起こし、それを尊重する
⑥他部署の人材が部署異動してきたいと希望してくる

(順不同)

 このような目指す姿を部内で提示し(一部は私の胸の内で決めていたことですが)、これらを基に日常や会議などでのコミュニケーションを取るようにすることで、部下が日常行動を考える基準を固めていきました。

 例えば①は、前半部分(やりがい)と後半部分(成果)を両立させることが肝なのですが、人によって何にやりがいを感じるかはそれぞれです。そこで対話を繰り返しつつ、それが実現できるようなマネジメントを実践していけば、組織の空気はポジティブなものになっていきます。また、同程度の成果を見込める選択肢があれば、「どっちが楽しそう?」などと問うことで、考える際にその視点を意識させることもできます。

 ③では実際に、社内の他部門も含めた営業系管理職のほとんどを自組織出身人材が担う状態が実現した時期もありました。また部員には、自組織から優秀な人材(管理職、リーダークラス)を輩出するということは自組織のポストが空くことを意味するということも伝えていて、我こそはと思う人は前のめりで頑張ってチャンスをつかんでくれていました。「新卒が1年後にリーダーになるにはどうすればよいですか?」などと、メンバーが自ら聞きに来ることも日常でした。

 経営者であれば、管理職がそれぞれにこのような方針を考え、自組織の共通認識化をベースにしたマネジメントを実践することが、自ら動ける良い組織風土づくりへつながることはお分かりいただけると思います。