上司として部下に求めることを提示する

 次に定義する、「組織の一員として立場(職位)ごとに求めること」というのは読んで字のごとくですが、自組織の各役職にある人には何を求めるのかを、上司が明確に示すことも部下が自ら動く風土づくりに不可欠です。この内容には、できるだけ管理職者のカラーが入るようにさせたいところです。作成は、以下のようなマトリクスとしてまとめると見渡しやすくなります。

「組織の一員として立場(職位)ごとに求めること」マトリクス
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 具体的には、「在り方」「人材育成」「職種ミッション」の各カテゴリーについて、自社の役職呼称に合わせた立場ごとに、どのようなことを求めるのかを明文化します。「メンバー」×「人材育成」は、先輩になったら後輩に対してどうあってほしいかという内容でよいと思います。「職種ミッション」は、例えば「営業としてどうあるべきか」を定義するイメージです。図中にも記載しましたが、各項目3つくらいが経験上の適量バランスです。それでも、部下には3カテゴリー×3つで9つの求めることが定義されるのでそれなりのボリュームとなります。また定義する側の上司にとっても、定義の過程で項目を絞り込むことで、改めて優先度を確認する機会ともなります。

 下に参考に「在り方」のカテゴリーの記入例を挙げます。役職の上下で比較したときに、難度が適切に上がっていき、役職別に求められる内容の違いが若手でも分かるように明確化することがコツです。もちろん、上の役職者は下で求められている内容は問題なくできていることが前提です。

「在り方」のカテゴリーの記入例
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 なお、今回のコラムテーマである「自ら考えて動くこと」に関して、1つ1つの仕事を進める上でその仕事は何のために行うのかという「目的意識」も大事なのですが、これについてはまた別の機会に解説したいと思います。

 最後に、今回のコラムで一貫して提案していることに「言語化する」という点があります。経営者や上司が頭の中で思い描いていることや考えていることがあっても、いざ言語化してみると思った以上にうまく落とし込めないものです。そして、何とか文章になったものを自分で読み返すと、思うところと単語の選択や言い回しなどの微妙なニュアンスの違いに気付くことも多々あります。ここで推敲(すいこう)を重ね、まず上司自身が組織として何を目指し、部下に何を求めたいのかを思考として整理し、その輪郭を納得いく状態にします。ここで初めて、部下に対して組織の一員としての行動基準を分かりやすく明示できる準備が完了します。

 そして、その基準を明確化して組織の共通認識として提示できたら、日常的にその指針やルールに照らしながら「うちの組織が目指す姿、行動指針などを踏まえるとどうすればよいと思う? どうすればよかったと思う? 何が大事だと思う?」と問いかけて、思考トレーニングを積み重ねていきます。そうして自分の組織において、考えて行動するとはどういうことかという型が部下の中に根付いていけば、自然と「自ら考えて動く風土」が出来上がっていくはずなのです。

速攻活用ツール第4弾

■組織として目指す姿、求めることの定義シート

 簡単ではありますが、今回ご紹介した
①組織が目指す姿
②組織の一員として立場(職位)ごとに求めること

──を整理するためのシートを準備しました。まずは皆さんご自身でどこまで明文化できるか試しながら、この機会に思考を整理してください。書き上げたらさらに下の管理職の方にもトライしてもらい、最終的にはそれぞれの部署内で共有することをオススメします。

御供田 省吾(ごくでん しょうご)氏 組織営業総研 代表
御供田 省吾(ごくでん しょうご)氏
組織営業総研 代表
キーエンス入社後、一貫してコンサルティング営業に従事。自ら考案した営業手法が「現場発の売れる仕組み」として全社的に紹介されるなど、独自の視点からのコンサルティング営業スタイルを確立。同社の営業エリア責任者を経て、日本最大級の不動産情報サイトを運営するLIFULL(旧NEXT)に入社。若手が成果を出しながら成長する組織を独自の手法でつくり上げ、次世代の現場マネージャーを排出した。同社営業部門責任者を経て、人・組織の成長がクライアントの業績向上につながるよう支援をするコンサルタントとして組織営業総研を起業、現在に至る。
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