テレワーク下で相談しづらい問題は「しょうかん」で解決

 テレワーク環境になって、部下が上司や先輩に相談しづらい、特にちょっとしたことを聞きづらいという問題が起きていると思われます。もしかしたら皆さんの組織でもこの問題が起きているかもしれません。上司や先輩からするといつでも声を掛けてきなさいというスタンスなのでしょうが、若い部下からすると「とはいえ」というところでしょう。

 例えばこの問題も、ネーミングを活用してある程度改善できます。では、具体的にどうするか。

 ちょっとしたことでも気軽に聞いてほしいし、上司先輩を頼ってほしいという意図を、何かの言葉に置き換えてみましょう。SFファンタジーの世界では、困った時に強い味方を呼び出すことを「召喚」と表現します(ゲームをしている若い世代にはなじみのある単語だと思います)。また、短い会話「ショート・カンヴァセーション(Short conversation)」を「ショーカン」と略します。そこで、このダブルミーニングで「しょうかん」と名付け、「何か聞きたいことや相談があればいつでも上司先輩と気軽に『しょうかん』する」という運用にする(頭の中では「召喚」の文字に置き換えるのですが)。

 これを実際の会話で想像してみてください。

・ささいなことでも相談や質問があったら上司の私を「しょうかん(召喚)」してね
・少し聞きたいことがあるので、夕方「しょうかん(召喚)」いいですか
・最近、あんまり「しょうかん(召喚)」されてないけど、本当に大丈夫?
・うちの部署、困ったら気軽に上司を「しょうかん(召喚)」できるんだよ

 どうですか? ちょっと面白そうじゃないですか? 「何かあったら相談しなさい」というよりも、遊び心が入った言葉で表現している分、ライトな感じが出ます。部下本人も上司先輩もこの言葉を使ってみたくなりそうだし、私の経験則では、これだけでも若手が上司に気軽に相談や会話を持ち掛けやすくなるイメージが持てます。

 また、今はやりの「1on1」(上司と部下で行う定期的な1対1ミーティング)ですが、もし社内であまり運用がうまくいっていなければ、ここも名前を変えて運用に少しの工夫をするだけで現場の取り組み姿勢を変えるきっかけをつくれます。実際、名前を変えて上司と部下のコミュニケーション量が大幅に変化したという事例も知っています。こうして呼び方を工夫するだけで、部下に必要な行動を促せます。これもまた、言葉の持つ力の一例です。

 冒頭にも書きましたが、経営者や管理職の方の多くは経験則から「言葉の持つ力」を知っています。しかし、そのプラスの力を組織マネジメントや人材育成において、意識して日頃から積極活用する点については、まだ改善の余地がありそうです。今回のコラムを読んで、ご自身や自社の状況にまだ改善の余地があるという気づきを得たとしたら、今からでも、積極的に言葉の持つプラスの力を活用してください。より良い変化が生まれてくるはずです。

御供田 省吾(ごくでん しょうご)氏 組織営業総研 代表
御供田 省吾(ごくでん しょうご)氏
組織営業総研 代表
キーエンス入社後、一貫してコンサルティング営業に従事。自ら考案した営業手法が「現場発の売れる仕組み」として全社的に紹介されるなど、独自の視点からのコンサルティング営業スタイルを確立。同社の営業エリア責任者を経て、日本最大級の不動産情報サイトを運営するLIFULL(旧NEXT)に入社。若手が成果を出しながら成長する組織を独自の手法でつくり上げ、次世代の現場マネージャーを排出した。同社営業部門責任者を経て、人・組織の成長がクライアントの業績向上につながるよう支援をするコンサルタントとして組織営業総研を起業、現在に至る。
D-Com会員登録のご案内

会員登録された方に、メールマガジンで新着記事、新連載のご案内、その他ビジネスに役立つお得な情報を無料でお送りします。会員限定記事も今後続々登場する予定です。ぜひご登録ください。
D-Com会員登録はこちら