同じ「地図」を持って、若手と成長の道を伴走する

 先ほど挙げた不安要因の「①半年先、1年先の自分がどうなるか(目指せばよいか)イメージが持てない」。この原因は、入社後に様々な研修や指導により新しい知識を吸収しているものの、どんなゴールを目指しているかが不明瞭ということにあります。指導する側には成長させる全体イメージがあって、そのために必要なことを順次提示しているわけですが、当事者である新人がそれを認識・理解できていないという状態です。

 上司はちゃんと提示したと思っているケースでも、実は適切に伝わっていなかったという例は少なくありません(上司としての伝えるコツはコラム第4回をご参照ください)。結果、新人が分かっているのは、とにかく目先のこれを覚えなさい、あれができるようになりなさいという近視眼的なものばかり。不慣れなこと、知らないことを次から次へと詰め込むように学んでいるけれど、その状態がいつまで続くのか、何へとつながっているかがいまいち分からない状態が、どれだけ不安や精神的疲労につながるかは想像に難くないでしょう。

 また上司たちが持つ「新人を成長させる全体イメージ」が抽象的過ぎるという問題にも要注意です。ありがちなのが、「1年後には一人前になること。以上」といったケースです。一見おかしくはないようにも感じるかもしれませんが「一人前の状態」を説明してもらうと、これが驚くほど抽象的な表現のオンパレードで、人によって言っていることが違いがちです。結果、教える人によって言うことや優先度などが変わるのです。これも間違いなく、若手にとっては不安や混乱つながる要因になります。

 このような状態にならないために、まずは新人が入社1年後にどのような状態になっていることを目指すのか、そのためにはどの時期に何をどのような方法で学ぶのかという指標を整理し、明確に定義をすることが効果的です。これにより、新人が入社1年後に目指す状態とそのために進むべき道、成長のための「地図」(MAP)が完成します。これをここでは「新人StepUpMap」と呼びましょう。

新人StepUpMap

 後は、これを新人と共有し、常にその進捗状況をこの地図と照らしながら育成を進めることで、先に挙げた新人の不安要因①②を解消できる状態を整えます。

 弊社がクライアント企業において人材育成ミーティングを行う際も、このような指標を基に毎月新人一人ひとりの成長状況を確認しながら進め方をブラッシュアップしていくのですが、1年通して進めていくと、上司や先輩の新人育成への意識や取り組みの質も上がっていきます。もちろん、初年度の1年で取り組むことや短期的に目指すゴールが明確になることで、新人の不安を取り除くことにも効果を発揮しますし、自己成長意欲が高まって自発的な学習行動が増えていきます。また、地図そのものも臨機応変に改修を重ねることで、より質の高い新人育成ツールへと育てていくことができます。

 今回は、最後に新人StepUpMapのひな型を準備してありますのでぜひご活用ください。ちなみに入社2年目、3年目の若手についても月単位とは言わないまでも四半期区切りくらいでのStepUpMapを作成活用すると若手の指導育成や自己成長もうまく進みやすくなります。コラム第7回で提供した「組織として目指す姿、求めることの定義シート」のメンバー枠の部分を2年目、3年目に分けて簡易版を作成するイメージです。