「仕事を任せる」を“丸投げ化”にしない2つのルール

 部下に仕事を任せるとき(前出の図に示した「B」①の成長機会創出も狙う仕分けの場合)、注意すべきは「仕事を任せる」が「仕事の丸投げ」にならないようにすることです。皆さん、「それは分かっている」と思われるでしょうが、忙しさのあまり上司が部下に任せた仕事の状況確認まで気が回らず、ついつい結果的に“丸投げ化”に近い状態になってしまっているケースは珍しくありませんし、実は、皆さんもそうした経験はあるのではないでしょうか。そうならない鍵は、2つのマネジメントルールの「徹底」にあります。

① 状況確認のタイミングを決めてルーチン化する
② 「状況と見通し」「現状の懸念点と改善策」に重点を置いて確認する

 この①については、気が付いたら確認するといったルールでは漏れが必ず発生するので「ルーチン化」することが鍵です。確認頻度でお勧めしないのは、定例会議でまとめて報告を聞くなど、どの仕事も同じスパンで確認すること。仕事を任せている相手(の力量)とその仕事の重要度に応じて、状況確認をすべき最善のタイミングは違うはずなのです。

 ②で「現状の懸念点と改善策」を含める狙いは、マネジメントとして当事者意識が必要な要素を加えることでやらされ仕事にしないことと、上司の視点で現状に対して懸念点がある場合、部下にも同様の認識があるかを確認するようになる点にあります。また、先述の部下の成長機会創出も狙った仕分け(図「B」①)の場合は、報告する部下の雰囲気など行間を捉えた丁寧な指導アドバイスがベストなので、メールなどでやりとりせずに、基本は口頭コミュニケーションを心掛ける方がよいでしょう。

 冒頭にも書きましたが「部下に仕事を任せる」というマネジメントは、上司と若手社員に限らず、経営者と幹部の間にも存在する課題です。仕事柄、経営者の方からの相談もありますが、「本来はこの仕事は私がやるのではなく幹部に任せたいけれども、役不足なので仕方なくいつまでも私がやらざるを得ない」という嘆きを聞くことは珍しくありません。外部から即戦力の“スーパー人材”を幹部に迎えることができれば、その人に任せられるかもしれませんが、そのような人材を迎え入れることが簡単ではないことは経営者ご自身がよくご存じのはず。本来は経営者である皆さんがすべきではない仕事は、幹部に任せていくしか組織としての課題改善への道はないと考える方がよいと思います。これは各重要ポストの後継者育成にも直結する、大事なポイントです。

 最後に、上司から「仕事を任される」ということは、部下にとって上司からの信頼、期待を実感できる機会でもあります(人材育成における上司と部下の信頼関係の重要性はコラム第1回で解説しました)。そして、それが若手であれば、少し背伸びが必要な仕事をやりきった経験は成長の手応えや自信となり、大きなブレイクスルーや次の仕事へのモチベーションへとつながります。そのような成長機会を部下に提供できるのは、ある意味、上司にしかできないことだということを忘れないでいただきたいと思います。

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