若手は組織に「将来の」居場所を見つけられているか

 若手の組織へのエンゲージメントを強め、長く自社で活躍できる人材へとステップアップさせるには、今だけではなく先々をイメージできるか、つまり若手が何年か先に自分がこの会社にいる姿、そこで活躍できている姿を想像できることも重要です。昨今は若年層へのキャリア教育も活発となり、企業内でも社員のキャリアに関する様々な取り組みがなされています。これは、自分の将来を想像するという意味でよい流れでもあり、今回のテーマとも関わるものです。ただ、以下は、この流れとは少し異なる視点からの解説です。

 ここで強調したいのは、若手が自分の将来像を見いだせる魅力的な上司・先輩は社内にどのくらいいるかという視点です。自分のキャリアを具体的に考えたとき、それを重ねられるような上司・先輩がいればキャリアプランのリアリティーが増します。また、目標にしたいロールモデルがあれば、自分のキャリアプランに反映できます。これができる若手は、将来の自分の居場所をそこに見いだすことになり、モチベーションが向上します。

 一方、キャリアプランを掲げても、それを重ねられる上司・先輩がいなければ、ここでは実現できないかもしれないと不安を抱く可能性があります。ロールモデルとなる上司・先輩がいない場合、優秀な若手ほど組織に居続ける必要性を見失い、転職しがちです。

 さらにもっとベーシックかつ大事なのは、上司・先輩は生き生きと働く姿、やりがいを持って働く姿、会社や組織への愛着やエンゲージの気持ちを若手に見せられているのかという視点です。若手にとって、身近な将来像となる上司・先輩がどのように働いているか、それが魅力的に見えているか否か、その姿から期待や希望を感じるのか、落胆や失望を感じるのかは、将来も自分がここで働いている姿を想像できるか否かに大きな影響を与えます。若手にとって、将来のポジティブな居場所を想像できることに直結するからです。

 皆さんの会社では、若手がポジティブな自分の将来を重ねられるような働く姿を、上司・先輩は見せていますか? 若手は、組織に将来の自分の居場所を見いだせているでしょうか? 経営者・上司の皆さんは、若手とのコミュニケーション機会にはこんな話題にも触れるとよいでしょう。

 私が見てきた活躍している若手たちは、組織の中に自分の居場所を持っていました。自分の居場所があると感じられることで心理が安定し、心置きなく頑張れる状態にあるのでしょう。そんな「今」と「将来」の居場所という、若手が着実に成長できる環境は、今回解説した若手との関わり方と、上司・先輩が魅力的な働く姿を見せることで実現できます。そして若手は、自分の居場所としての環境が整うことで、皆さんの会社で長く活躍してくれる人材へとステップアップすることでしょう。

 今回で13回目を迎えた本コラムですが、おかげさまでご好評と共に、現状の自社課題感に照らし合わせた相談を頂くことも増えました。そこで、次回からは皆様から寄せられた質問に回答しながら、若手を生かすノウハウをお届けしていきます。

 本コラムで取り上げてほしいお悩みなどがございましたら、こちらより、ご投稿ください。皆様からのお声をお待ちしております。

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