コロナ禍や採用難、働き方改革やパワハラ防止など、若手を育成する環境は大きく変化しています。従来のやり方では通用しない時代になり、管理者や先輩社員からの悩みも増えています。そこで、今回から、皆様から寄せられた質問に回答しながら、若手を生かすノウハウをお届けしていきます。

【お悩み相談】「『報・連・相』、一日何回させる?」
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悩み:部下に「報・連・相」を一日、何回させればよいでしょうか?

 部下には必要な時はきちんと「報・連・相(ほうれんそう:報告・連絡・相談)」をするよう伝えていますが、こちらから声をかけないと何も反応がないのが実態です。コロナ禍で在宅の社員もおり、以前のように職場で気軽に話しかけることもできなくなりました。「報・連・相」が遅れ、対応が後手に回ることも少なくありません。部下に適切に「報・連・相」させるにはどうすればよいでしょうか? 一日に何回させればよいでしょうか?

(41歳、小売業)

アドバイス:回数だけに注目するのではなく、「報・連・相」すべき情報を正しく判断するスキルを習得させることと、上司と部下がお互い最適なタイミングで「報・連・相」できる環境整備がカギです。

 そのために、まずは次の3つのことを実践してみてください。

(1)「報・連・相」のタイミングは原則、上司が設定
(2)まずは朝夕の2回から始め、「報・連・相」スキルの指導
(3)その後は事例が発生するたびに、OJT(職場内訓練)で対処

 では、詳しく説明していきましょう。

「報・連・相」には伝えるスキルが必要

 上司の立場からすれば、部下がどのような仕事をしているか分からないのはとても不安です。自発的に「報・連・相」してくれればよいと願いますが、実際にはなかなか「報・連・相」は上がってこないものです。在宅や外勤が多く、職場で顔を合わせることが少ない状況では、メールや電話で催促しますが、しつこいと思われないか気を使います。

 ですが、問題の本質を考えると、「報・連・相」の回数自体はあまり重要ではありません。回数が多くてもその内容が不十分であれば意味がありません。また、内容に問題がなくても、タイミングが適切でなければ改善が必要です。

 つまり、良い「報・連・相」をさせるポイントは以下の2点です。

(1)対象となる情報を判断するスキル
(2)実施するタイミングの最適化

 「報・連・相」をする前に部下がすることは、「これは上司に『報・連・相』すべきか否か?」のフィルタリングです。そして、上司が想定すべきことは、若い部下ほどそのフィルタリングを適切にはできない点です。「部下には、何かあれば『報・連・相』するように、常々意識づけしている」という上司は多いのですが、情報を適切にフィルタリングできない部下にいくらこの意識づけをしても、課題は根本的には改善しません。

 では、どのように指導していけばよいのでしょうか。

 スタートは「上司として『報・連・相』で、部下に求めること」について、一度明確に伝えることです。羅列して伝えるよりもカテゴリーに分けて説明すると、部下も理解しやすくなります。また、それらの情報が「報・連・相」の対象になる理由も併せて伝えましょう。これは部下が自ら考えて動けるようになる上で大事なポイントです。

 以後は、丁寧にOJTでケーススタディーを重ねること。これに尽きます。複数の部下がいる場合は、事例を共有するのも効果的です。その際、なぜ「報・連・相」の対象とすべきかなど理由を問うてみるのも良い方法です。適切な「報・連・相」に対しては褒める(承認する)ことも部下のスキルや意識を高めるコツです。

 なお、「報・連・相」の「相談」では、ネット検索で簡単に情報が手に入る時代となり、まずは自分で考えるというプロセスを飛ばして、上司の答えをすぐに欲しがる傾向の人が増えています。ですが、これは業務上、必ずしも良いことではありません。部下から相談を受けたときは、すぐに答えを言わず、「あなたはどう思う? どうしたいの?」と最初に問いかけることをお勧めします。そして必ず「それはなぜ?」と理由もセットで聞いてください。いつも上司からこの質問を受けるようになると、部下は相談する前に自分で考えるようになります。また上司にとっても「どうして?」と質問することは、部下の思考を理解するヒントになります。