働きやすい職場環境づくり支援に取り組んでいる、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの朝生万里子氏が三菱UFJビジネススクエア「SQUET」で連載しているコラム「『困った社員』の対処術」から、人気記事を転載する。今回は、営業車で度々事故を起こす社員にどう対応するかというお話。
岡田顧問
顧問社会保険労務士。中堅・中小企業のさまざまな労務トラブルに対応できるベテラン社労士。初歩的な当たり前の質問にも丁寧に答えてくれるため、質問しやすい先生である。
田中係長
人事部に配属されて約5年。先月、主任から係長に昇格したこともあり、やる気は十分であるが融通が利かない面もある。今回は、社内で生じる問題について、「会社のリスク回避」に焦点をおいて勉強しようと思っている。
中村さん
新卒入社2年目の元気な女性社員。やや情に流されがちであるが、働きやすい職場環境をつくることに役立ちたいと強く思っている。
田中係長先生、総務部長が怒り心頭でして。
岡田顧問ほう、どうされたのですか。
田中係長営業担当のE君が、また車をぶつけたのです。
岡田顧問よくぶつけるのですか。
田中係長はい。この1年で6回目でしょうか。
岡田顧問1年間で6回とは確かに多いですね。
田中係長営業車なので、そのままにしておくのは体裁が悪いから毎回修理に出していますが、総務部長が「さすがに今回の修理代はE君に自腹を切ってもらうぞ」ってすごいけんまくなんです。自分の車には傷1つないらしいのですが。
岡田顧問そうですか。総務部長さんの気持ちも分からないではないですが、全額請求するのは難しいですね。
田中係長もちろん、今まで修理代をE君に請求したことはありません。でも本来、社員が会社に対して与えた損害は、社員が賠償責任を負うのですよね。
中村さんえっ、そうなんですか? 仕事でミスをしたら、その損害は社員が負担しなければならないのですか?
岡田顧問誤解を招きそうなので、順に説明しますね。