働きやすい職場環境づくり支援に取り組んでいる、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの朝生万里子氏が三菱UFJビジネススクエア「SQUET」で連載しているコラム「『困った社員』の対処術」から、人気記事を転載する。今回は、パワハラをしているらしい課長にどう対応すべきかというお話。

「指導」と称したパワハラのせいで、職場の空気が悪化しています……
写真/metamorworks stock.adobe.com
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〈登場人物紹介〉

岡田顧問
顧問社会保険労務士。中堅・中小企業のさまざまな労務トラブルに対応できるベテラン社労士。初歩的な当たり前の質問にも丁寧に答えてくれるため、質問しやすい先生である。

田中係長
人事部に配属されて約5年。先月、主任から係長に昇格したこともあり、やる気は十分であるが融通が利かない面もある。今回は、社内で生じる問題について、「会社のリスク回避」に焦点をおいて勉強しようと思っている。

中村さん
新卒入社2年目の元気な女性社員。やや情に流されがちであるが、働きやすい職場環境をつくることに役立ちたいと強く思っている。

中村さん先生、パワーハラスメント(以下「パワハラ」)をする社員への対応を教えてください!

岡田顧問おやおや、どうされたのですか。

中村さんH課長の下で、この半年に2人も退職しています。どうやら、H課長がパワハラをしているようで、職場の雰囲気もすごく悪いんです。

田中係長それで、先日、私がH課長の部下全員にヒアリングを行いました。

岡田顧問いかがでしたか。

田中係長はい。メモを取りましたので、いくつか読みますね。「会議に遅れたときに、皆の前で怒鳴られて反省の言葉を要求された。書類で誤字脱字があったときに、小学生でもそんなミスはしない、と言われた。怒り出すと、机をバンバンたたく。おまえはやっぱりダメだなあ、ダメなりにもっと頑張れと言われた」などがあります。

 もっとも、中には、H課長は言い過ぎのところはあるが、熱心に指導をしていると思う、と言う人もいました。

岡田顧問なるほど、いろいろな見方があるわけですね。それで、当の課長さんのヒアリングはされましたか。

田中係長はい。H課長は一貫して、部下のために「指導」をしている、と言っています。自分も厳しい上司の下で指導を受けてきたし、その経験から判断しても、多少の厳しさは本人のためになるはずだ、って。

中村さん確かに熱心な方だとは思います。朝は誰よりも早く出社し、帰りも遅くまでお仕事されています。ただ、部下が出社するなり、挨拶もせずに仕事の話を始めたり、H課長より先に帰ろうとすると、もう帰るのか、と言われるそうです。そういう上司って、部下としては息が詰まるのではないでしょうか。

 それに、やはり、H課長の発言は「パワハラ」だと思います。多くの人がH課長の言動で萎縮したり、やる気をなくしたりしているのですから。本人は指導だと思っていても、部下のミスが改まらないのであれば、指導ではないと思うんです。

岡田顧問なるほど。本人が指導のつもりでも、結果として部下の育成になっていなければ指導ではない、という中村さんの発言には一理ありますね。

中村さんH課長は自分の価値基準だけで物の良しあしを決めているように思います。

岡田顧問なるほど、おおよその状況は分かりました。

中村さん先生、そういえば、「パワハラ」って法律で何か定義されているのですか。

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