働きやすい職場環境づくり支援に取り組んでいる、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの朝生万里子氏が三菱UFJビジネススクエア「SQUET」で連載しているコラム「『困った社員』の対処術」から、人気記事を転載する。今回は、無断欠勤が続く社員を解雇できるのか、その実際はなかなか難しいのだというお話。
岡田顧問
顧問社会保険労務士。中堅・中小企業のさまざまな労務トラブルに対応できるベテラン社労士。初歩的な当たり前の質問にも丁寧に答えてくれるため、質問しやすい先生である。
田中係長
人事部に配属されて約5年。先月、主任から係長に昇格したこともあり、やる気は十分であるが融通がきかない面もある。今回は、社内で生じる問題について、「会社のリスク回避」に焦点をおいて勉強しようと思っている。
中村さん
新卒入社2年目の元気な女性社員。やや情に流されがちであるが、働きやすい職場環境をつくることに役立ちたいと強く思っている。
中村さん今日は、1週間も無断欠勤が続いている営業担当のAさんのことでご相談させてください。
岡田顧問無断欠勤ですか。会社側から連絡はされたのですか。
中村さん電話をしても出ないし、メールの返信もないんです。営業部長が自宅まで見に行ったのですが、まったく応答がないそうです。今まで遅刻もたびたびあり、あまり熱心に仕事をしていなかったようなのですが。
田中係長私は、あと1週間無断欠勤が続いたら、就業規則にある「無断欠勤が引き続き14日に及んだときは解雇する」という決まりどおりに対応することも選択肢の1つと考えています。
中村さん事情がわからないのに「解雇」というのはどうかと思うのですが……。
岡田顧問そうですね、御社のように、「無断欠勤が引き続き14日に及んだとき」を解雇事由として定めている企業は少なくないのですが、実際のところ所在不明の社員の解雇はなかなか難しいんですよ。
田中係長そうなんですか?