広範かつ強固な海外ネットワークを持つMUFG。本コラムでは、世界各地の拠点責任者・駐在員が、現地の生情報をリポートする。第4回は、世界的な金融センターともなっている島の都市国家、シンガポールだ。3つのアングルで、シンガポールの今、そして今後を読み解いていく。(DeCom編集部)

観光名所ともなっている「マリーナベイ・サンズ」が満室となる日も近いか
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 「アジア四小龍」、「日本の淡路島とほぼ同じ面積」、「史上初の米朝首脳会談の実開催地」──。いずれもシンガポールのことです。狭い国土と少ない人口をものともせず、政治的なリーダーシップや知恵、そしてほかの国と広く上手に関係を構築することによって多様な人材を引きつけ、目覚ましい成長を続けてきた同国の歴史はみなさんもご存じかと思います。ですが、新型コロナ禍の折、経済の減速のみならずヒトの移動が妨げられることで、この国は少なからぬ脅威を受ける結果となりました。また、NHK国際報道などでも取り上げられた、シンガポールにおける移民の過酷な生活環境や労働実態などは、発展の影の部分ともいえます。本稿では以下3つのアングルで、シンガポールの今、そして今後を読み解いていきたいと思います。

デジタルトランスフォーメーション(DX)

 シンガポールの職場、学校や店舗の入り口では、下の写真のようなQRコードにスマホをかざす「セーフエントリー」が必須になっています。デジタル技術を生かしたデジタルでの接触者追跡システム「トレーストゥギャザー(TT)」のアプリもしくはトークン(小型端末)の普及率は、全人口の7割を上回りました。駅の改札同様に、機器をかざすだけで施設の入退場登録を済ませられる「タップ・アンド・ゴー」方式のシステムも今後導入される予定です。シンガポールは間違いなく、デジタル技術の活用では世界の最先端を走っています。それを牽引する強い政府、担当官庁があり、そして人材も集積しています。

 銀行分野でも、2009年よりデジタルトランスフォーメーション(DX)に着手してきた当地のDBSグループ・ホールディングスは、世界最高のデジタルバンクと称されています。率いているのはインド出身のピユシュ・グプタ氏です。

 また、政府は「フードテック」や「サイバーセキュリティー」の分野にも注力。前者については研究開発から、製販に至るまで一貫して政府が支援し、地場企業の育成と合わせて、悲願でもある食糧自給率の改善に取り組んでいます。

シンガポールではすっかりおなじみのセーフエントリーのQRコード(珍しい四カ国語バージョン)
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