グリーントランスフォーメーション

 デジタルと並び政府が力を入れようとしているのがESG(環境・社会・企業統治)関連、なかでも環境に配慮した取り組みです。シンガポール通貨庁は今年1月1日から、環境や持続可能性に配慮した事業などへの融資を促進する助成制度「グリーン・アンド・サステナビリティー・リンクト・ローン・グラント・スキーム(GSLS)」を設けました。融資を受けるためにかかる費用の助成などを行う、政府の支援制度です。

 モビリティーの分野でも、政府はガソリン・ディーゼル車の利用を段階的に減らして40年までに廃止する目標を設定しました。実際、政策の一環として、下の写真のようなEV(電気自動車)のシェアリングステーションが街中にさり気なく設置されています。加えて、EV工場の誘致のみならず、充電用のEVステーション設置の促進、環境に配慮した自動車の購入を促進するための販売奨励金の強化など、関連する取り組みが目白押しです。

「こんなところに……」。街中にこつぜんと姿を現す電動シェアリングカーステーション
「こんなところに……」。街中にこつぜんと姿を現す電動シェアリングカーステーション
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 新しい取り組みに目が奪われがちですが、シンガポールは従来から「ガーデンシティ」を標榜しており、市内には公園や緑地が多く点在しています。休日には散歩、ハイキングやジョギングを楽しむ人の憩いの場となっています。時代を経ても変えてほしくない部分です。

市内中心部にある、緑あふれる「フォート・カニング・パーク」
市内中心部にある、緑あふれる「フォート・カニング・パーク」
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アジアのハブから世界のビジネスハブへ

 幸いシンガポールでは曲折がありながらも、市中におけるコロナ感染者を抑え込むことに成功しており、昨年12月28日からは、フェーズ3が開始。8人までの会食が解禁されました。そうした中、もう1つの光明としてこれまでスイスのダボスで開催されていたダボス会議(年次会合)が8月にシンガポールで開催されることになりました。政府はコロナ禍でも無事安全に国際会議を行える環境の整備を進め、成果を出すことに躍起となっています。冒頭写真のマリーナベイ・サンズに代表されるシンガポールの宿泊施設も、早くフル稼働に戻ってほしいもの。シンガポールが成長著しいアジアのみならず、名実ともに世界のビジネスハブ(拠点)化する日も近いかもしれません。期待先行ですが。

野本 隆生(のもと たかお)氏 三菱UFJ銀行 シンガポール法人営業部長
野本 隆生(のもと たかお)氏
三菱UFJ銀行 シンガポール法人営業部長
1972年埼玉県生まれ。95年東京銀行(現三菱UFJ銀行)入行、内幸町支店、海外派遣(ベトナム)、ホーチミン支店、アユタヤ銀行出向、営業第一本部等を経て2020年4月より現職。
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