広範かつ強固な海外ネットワークを持つMUFG。本コラムでは、世界各地の拠点責任者・駐在員が、現地の生情報をリポートする。第20回は、家族や友人といった人間関係や働きぶりに焦点を当てて現地情報を報告します。(D-Com編集部)

サウジ王国「発祥の地」ディルイーヤ地区の史跡
サウジ王国「発祥の地」ディルイーヤ地区の史跡
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 前回「砂漠の上にも3年 〜サウジアラビア・リヤドの魅力と発見〜」では、サウジを初めて訪れる方に、私がこれまで駐在で感じたサウジの魅力や発見についてお伝えしました。今回は、サウジに一定期間住もうとする方、サウジの政府や企業とビジネスをしてみようと思っている方に向けて、現地の人々との雑談を通して知った考え方や価値観、慣習についてご紹介します。

大家族が多いサウジ人

 日本の国民的アニメには、3世代同居の家族を描いたものが幾つかあります。サウジでは、今でも祖父母、両親とその兄弟、各兄弟の子供たちが10人くらいで同居することが珍しくなく、まさにこうした3世代同居ならではの話を聞くことができます。

 当初誤解して、サウジ人に大家族が多いのは、一夫多妻制が認められているからだと思っていました。実際には一般人が複数の女性と結婚しているという話は聞いたことがありません。王族クラスであれば別でしょうが、市民は一人のパートナーと結婚するのが普通です。

 しかし、その結婚に至る道のりは、日本人とはだいぶ異なります。今の20~30代の若者の祖父母の世代では、ほぼ100%がお見合いだったそうです。このあたりは少し前の日本の状況ともあまり変わりません。

 現在はもっとオープンになってきているようですが、それでも結婚したい相手を見つけた場合、自分の母親にまず相談します。その上で、母親が父親に告げて、父親が相手の父親に連絡し、全員の了解を得たところで、晴れて結婚が決まります。結婚する前のお付き合いは大抵の家庭では否定的に考えているようです。これは本人にとっても、相手をあまり知らない段階で結婚を決めなければならず、結構なリスクがあります。

 これが理由かどうかは分かりませんが、子供の頃からの性格も家族構成も分かっている、いとこ同士や親戚同士で結婚することも多いそうです。

家族と友人が大事

 当然ですが家族は最も大事な存在です。ある国営企業の社長(王族)と面会した際、社長室にかっぷくの良い社長と、その横に10歳くらいの少年が待っていました。社長は「今日は私が彼の面倒を見なければならないので、同席させる」とおっしゃっていて、非常に感銘を受けたのを覚えています。

 日本なら、自分の子供を仕事の取引先との会議で同席させることは考えられないでしょうが、家族と仕事をしっかり両立させている姿は、見習いたいなと感じました。

 一方で、友人との関係は大人になってもかなりフランクです。ここで家族とは話さない内輪の話をすることで、インナーサークルの結束が生まれ、ビジネスの斡旋も語られることが多いようです。

 多くのサウジ人は友人と集まれる場所を自宅とは別に持っています。都心に近いマンションだったり、友人と共同で戸建てを借りるケースもあるそうですが、週末や平日の夜など、都合の良いタイミングで友人たちとこうした場所に集合し、それぞれ好きな飲み物を飲んだり、大皿料理を車座になって囲んだりしながら、仕事も含めた色々な話を夜通し語ります。アラビア語を話せて、こうした集いに参加できれば、あなたもサウジ人です。ビジネス面でも特例扱いを得ることは容易になるでしょうし、様々な噂や未確認情報も入手できることでしょう。

友人たちが集まる食事は楽しい
友人たちが集まる食事は楽しい
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