ワクチン大国

 インドが世界シェア約6割を誇るワクチン大国である事実はあまり知られていません。コロナワクチンも英アストラゼネカと英オックスフォード大学が開発して印セラム・インスティチュート・オブ・インディアが生産する「Covishield」と、印バーラト・バイオテックが開発した「Covaxin」の国産2種類が承認を得て、45歳以上の国民4億人を対象に接種が進められています。

 「安価」、「大量生産」を武器に、インド政府は近隣諸国や太平洋諸島・カリブ諸島諸国などを対象にワクチンを提供し、中国に対抗して「ワクチン外交」を繰り広げています。

私もワクチン(1回目)を接種しました
私もワクチン(1回目)を接種しました

集団免疫形成

 今年1月にデリー首都圏で実施された血清検査では56.1%の抗体反応が確認され、市民の半数以上がコロナに感染済である可能性が示されています。インドのコロナ致死率は1%台と他国と比べて低く、大半が軽症または無症状といわれています。国民平均年齢が若いことや、元々感染症免疫力が高いなどの諸説はいずれも定かではありませんが、気付かない間に集団免疫が確立されつつあるようです。

 そうした状況に気の緩みもあるのか、夏の到来(インドの真夏は4~5月)とともに市民は感染対策に無頓着となり、第二波の到来を許すことになりました。コロナ対応には政府がいくら策を講じても限界があり、市民一人ひとりの意識と対策が肝要なのでしょう。インドのコロナとの戦いは続きます。

コロナで空いている道路では「神聖な」牛たちが我が物顔です
コロナで空いている道路では「神聖な」牛たちが我が物顔です
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清水 雄一(しみず ゆういち)氏 三菱UFJ銀行 ニューデリー支店長
清水 雄一(しみず ゆういち)氏
三菱UFJ銀行 ニューデリー支店長
1969年生まれ。神奈川県出身。92年に東京銀行(現三菱UFJ銀行)に入行。ブラジル、インドでの海外拠点のほか、国際業務部、名古屋営業本部などで法人業務に従事。その後サンチャゴ支店長として南米チリに駐在の後、19年12月から現職。
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