広範かつ強固な海外ネットワークを持つMUFG。本コラムでは、世界各地の拠点責任者・駐在員が、現地の生情報をリポートする。第22回は、V字回復を達成した日系企業の現状や投資環境の変化について最新情報を報告します。(D-Com編集部)

左/ジャカルタのショッピングモール「パシフィックプレイス」。小売店の営業時間や店内飲食の要件も緩和されたものの人出は少ない(21年11月撮影)。右/ジャカルタの目抜き通り「スディルマン通り」。感染拡大が進み、交通量は激減した(21年7月撮影)
左/ジャカルタのショッピングモール「パシフィックプレイス」。小売店の営業時間や店内飲食の要件も緩和されたものの人出は少ない(21年11月撮影)。右/ジャカルタの目抜き通り「スディルマン通り」。感染拡大が進み、交通量は激減した(21年7月撮影)

 急速な都市化と経済成長が進み、「世界一ひどい」とも言われる交通渋滞が深刻なジャカルタ。当地の中央から南にかけて走る大量高速鉄道(MRT)は、2019年の開業以来、市民の足として定着してきています。

 MRTの延伸工事が始まっているほか、新たな都市鉄道である軽量軌道交通(LRT)が22年に開業予定で、ジャカルタ市内での移動の利便性は圧倒的に高まりつつあります。目抜き通りであるスディルマン通りを歩き、快適なMRTに乗って移動していると、別のアジアの大都市に来たような錯覚にとらわれます。

 MRT建設には、「オールジャパン」のプロジェクトとして多くの日系企業が関わって技術・ノウハウを提供しています。また道路に目を向ければ日系ブランドの自動車シェアが9割を超えます。最近は中国と韓国の自動車メーカーの勢いが増しているものの、ジャカルタでは日本からのインドネシアに対する今までの投資の分厚さを感じることができます。

左/MRTの車両、右/MRTの出入口
左/MRTの車両、右/MRTの出入口
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「外資出資比率規制」が緩和

 20年11月、インドネシアでは、投資呼び込みの切り札となり得る「雇用創出法(通称オムニバス法)」が成立しました。オムニバス法は、既存の複数法令を一括で廃止・改正・統合、法令間の不整合を解消し、投資環境を整えることで、外資誘致・投資促進、雇用創出を目的としています。21年3月には、同法の一環として、「外資出資比率規制」が緩和され、この実に5年ぶりの改定は、当地へ既に進出済み、あるいは、新規進出検討中の日系企業からも注目を集めました。

 外資出資比率上限が設けられる業種は、従来の350から46へ削減され、卸売業や倉庫業が従来の67%から100%へ緩和されており、緩和に伴う新規進出検討、独資化を企図した現地企業の株式買い取りなどかじを切る日系企業の動きも見られます。一方、政府が質の高い投資誘致を目的とし、最低払込資本金を従来の25億ルピアから100億ルピア(約9000万円、5月10日現在)へ引き上げ、同国へ新規進出検討中の中堅中小企業には、特に強いインパクトを与えています。

 投資準備が進む傍ら、インドネシアの新型コロナ感染拡大も本格化しました。1日当たりの新規感染者数は、第1次ピーク時には5.7万人(21年7月)、第2次には約6.5万人(22年2月)、パンデミック開始以降、累計感染者数604万人、死者約15.6万人(22年4月14日時点)が報告されています。

 21年7月には、MUFG含めほとんどの駐在員が日本へ一時退避を余儀なくされましたが、足元では、感染者数も減少傾向(22年4月13日時点での1日当たりの新規感染者数1551人)で、22年4月初旬には、日本を含めた43カ国・地域からの渡航者を対象に、観光を目的とした到着ビザの発行も再開されました。

 ラマダン(断食月)に入り、国内各地のモスクでは約2年ぶりとなる集団礼拝が行われました。また、レバラン(断食月明け大祭)前後の4月下旬~5月上旬には、約8500万人(国民の30%相当)が帰省で国内移動すると予想されます。足元はコロナ前の日常を取り戻し始めているものの、感染再爆発を危惧する声も聞かれます。マスクやソーシャルディスタンス等の基本対策を一人一人が順守し、安全で楽しいひとときとして終えられるよう願ってやみません。

スカルノ・ハッタ国際空港出口。22年3月上旬には海外からの渡航者に対し、隔離措置が設けられ閑散としいた。3月23日から隔離義務が撤廃され、出張者が急増している
スカルノ・ハッタ国際空港出口。22年3月上旬には海外からの渡航者に対し、隔離措置が設けられ閑散としいた。3月23日から隔離義務が撤廃され、出張者が急増している