深刻化する人手不足とサプライチェーンの混乱

 三菱UFJ銀行シカゴ支店営業エリアの米国中西部は、自動車産業を中心とした日系製造業の集積地として知られています。こうした企業の製造現場でも多くの従業員がマスクを外し、モノづくりの現場でもかつての姿が戻ってきました。

 一方で、コロナ禍で離職した従業員の一定数が職場に復帰していないことが大きな問題となっています。以前から若者を中心に工場労働者の確保が難しくなっていましたが、人手不足はさらに深刻化しています。日系企業においても管理部門や経営層までが製造現場に出て何とか操業を維持しているという事例もあります。
(※パンデミック発生直後に最高値14.7%を付けた米国失業率は、22年3月には3.6%と過去四半期を見ても最低水準にあったパンデミック前と同水準まで下落した)

 加えて、経済再開後のサプライチェーンの混乱が多くの企業を悩ませています。半導体部品やレアメタルなど、調達そのものが難しくなっている部材も多く、昨今の原材料の価格高騰と相まって、生産管理のかじ取りは難しさを増しています。

(左)街中には求人を伝える「Now Hiring」の看板が目立つ(右)ガソリン価格がコロナ禍前の1.5倍に上昇した
(左)街中には求人を伝える「Now Hiring」の看板が目立つ(右)ガソリン価格がコロナ禍前の1.5倍に上昇した
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苦難を乗り越え飛躍に期待

 もはや一時的とは呼べなくなったインフレの加速、米連邦準備理事会(FRB)による積極的な金融引き締め、貿易収支の悪化など、米国の今後を占う上でのリスク要素は決して少なくありません。しかしながら、世界一の経済大国としてこの国が内包する人材、資金、技術、成長への自信などの「国富」を目の当たりにする中、足元の苦難を乗り越えた当地の日系企業がさらなる飛躍を遂げる将来図を思い描かずにはいられません。

大塚 優/MUFGユニオンバンク 米国法人営業部(中西部)部長 三菱UFJ銀行 シカゴ支店長
大塚 優(おおつか ゆたか)氏
MUFGユニオンバンク 米国法人営業部(中西部)部長
三菱UFJ銀行 シカゴ支店長
1974年生まれ。滋賀県出身。98年東京三菱銀行(現三菱UFJ銀行)入行。支店勤務、ストラクチャードファイナンス部、ブラッセル支店(ベルギー)、大阪営業本部など、法人顧客へのファイナンス業務を多方面から経験。20年に京都支店次長から米国MUFGユニオンバンクへ出向、ニューヨークにて米州の法人営業企画業務に従事した後、22年4月から現職。先祖は甲賀流忍者。忍術書や古文書あり。
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