新電力の会員組織である「日経エネルギーNextビジネス会議」。2019年度第1回目の会合は、多くの新電力が注目する「卒FIT」について議論した。顧客基盤の強化や新ビジネスに対する期待は大きいものの、競争環境の不公平が影を落とす。

 「まともな競争になっていない」「(大手電力に)根こそぎ持って行かれてしまうのでは・・・」

 5月29日に開催された日経エネルギーNextビジネス会議。参加した新電力から懸念の声が次々に上がった。

 同会議は小売電気事業者約60社が参加する会員組織で、2019年度最初の会合となったこの日は「卒FIT」について議論を進めた。

テーマは「卒FIT」
5月29日の日経エネルギーNextビジネス会議

 卒FITはFIT買取期間が終了した再エネを指す。2009年に始まった住宅向け太陽光発電は、11月から順次10年の買取期間が終了する。FIT電気と異なり、卒FITが発電した電気は環境価値を内在する“生”の再エネとして扱えるのが大きな特徴だ。

 新たに放出される電源を巡り、新電力も大手電力も家庭を対象にした卒FIT買い取りに続々と名乗りを上げ始めている。

 卒FITは昨年の段階から同会議の議論の中でも、多くの新電力が関心を示していた(「九州の新電力、7割が卒FITに関心」)。

 なぜ、新電力は卒FIT買い取りを目指すのか。会議では卒FITの効用について意見を交わした。

 「顧客基盤強化のツールと位置づけている。屋根に太陽光を設置する家庭に対して電気の供給と買い取りをセットで行う。パネルの保守・管理などと併せて複数のサービスをワンストップで提供することで顧客を囲い込みたい」。こう打ち明けるのは地域の総合エネルギー事業者を目指す地方都市ガス系新電力だ。

 太陽光パネルの販売から新電力に参入した別の事業者は「まずは自社製パネルのユーザーを対象とした、有利な価格での買い取りサービスを検討中」と明かす。パネル販売と電気事業の相乗効果を期待する。

 一口に卒FIT買い取りといっても、事業者の目線は多様だ。

 地域新電力支援を手がける事業者は「(再エネ利用で支援したい)自治体に卒FIT電気を寄付する、電力版ふるさと納税のプラットフォーム提供」といった斬新なアイデアを披露した。地域との連携強化に卒FITを活用する。

 一方で「高度化法の目標達成の手段の1つとして、当面はビジネス開発より規制対応に重きを置く」(大手エネルギー系新電力)とした意見もあった。高度化法(エネルギー供給構造高度化法)は、2030年に販売電力の44%を非化石電源で調達することを一定規模以上(年間販売電力量が5億kWh以上)の小売電気事業者に義務付けている。

 この事業者の場合、自社で所有する火力発電所の供給力が強みの半面、非化石電源を持たない分、高度化法の達成が重荷になると見ている。卒FIT買い取りは非化石価値証書の購入だけに頼るリスクを回避するのが狙いだ。

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