北陸電力エリアに初の自治体新電力が誕生した。しかも、全国初の自治体100%出資だ。意思決定から事業開始まで半年足らず。このスピードを実現したのは、市長の並々ならぬ危機意識と、市長の決断を支えた2人のキーパーソンだ。

日本初の自治体100出資の新電力は、加賀市の宮元陸市長のトップダウンで始まった

 「このままじゃ加賀市は消滅する。そう時間は残っていない」。石川県加賀市の宮元陸市長は語気を強める。

 宮元市長の頭にあるのは、2014年に増田寛也・元総務相が座長を務める日本創成会議が指摘した「消滅可能性都市」。加賀市は南加賀(石川県南部)で唯一、名前が上がった。

 消滅可能性都市とは、2010年から2040年にかけて20~39歳の女性の数が5割以下に減少すると推計される自治体を指す。子供の大半を産んでいる年代の女性がいない町は人口が増えないため消滅する可能性があるという考え方だ。2040年に消滅する可能性がある全国896市区町村の名前を列記したことで、衝撃を持って受け止められた。

 実際、加賀市の人口は減少の一途をたどっている。ピーク時に10万人弱だった人口は年々減少し、現在は6万8000人。1年で700人ずつ減っている計算になる。

 「一点集中して差別化しないと加賀市は生き残れない。先進テクノロジーを試すなら加賀市という認識を広げ、企業に関心を持ってもらう。消滅可能性都市ではなく、挑戦可能性都市にしたい」。宮元市長の背中を押すのは強烈な危機意識だ。

 宮元市長は、自治体新電力の前にも数々のプロジェクトを手掛けてきた。例えば、2018年3月にはIT企業2社、スマートバリュー(大阪市)とシビラ(大阪市)と連携し「日本初のブロックチェーン都市」を実現すると表明した。まずはブロックチェーン技術を活用した本人認証基盤を構築するという。

 さらに7月には「スマートインクルージョン推進宣言」をした。ブロックチェーンで組んだシビラ、スマートインクルージョン推進機構とともに、障がいのある人が暮らしやすい街づくりをするという内容だ。2019年5月には、障がい者の教育と雇用に関する事業を展開するD&I(東京都千代田区)と、障がい者のテレワーク推進に関する連携協定を締結。弁護士ドットコム(東京都港区)が第1号として参画する。

 ブロックチェーンにスマートインクルージョン。宮元市長がトップダウンで手掛けてきた案件には、時代を映すキーワードが並ぶ。「だんだん加賀市は新しいことをやる自治体だというイメージが広がってきた」と宮元市長は頬を緩める。

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