「大半が売れ残った。この状態が続くとすれば、ベースロード市場の意義は失われるおそれがある」(市場関係者)。

 8月9日、2020年度受け渡し分ベースロード(BL)の第1回目の取引が行われた。市場分断の影響を考慮し、全国を3つのエリアに分けて実施した入札の結果は、北海道が12.47円/kWh、東京・東北が9.77円/kWh、西日本が8.7円/kWhだった。

関西電力高浜原子力発電所
(出所:PIXTA)

 BL市場は大手電力が大半を保有する原子力、大型水力、石炭火力といった「安価な電源」を新電力も利用できるようにする目的で新設された。資源エネルギー庁は「新規参入した小売電気事業者が、一般電気事業者であった小売電気事業者と同様の環境でベースロード電源を利用できる環境を実現することで、小売り競争を活性化させる」(ベースロード市場ガイドライン)ことを目指していた。

 今回のBL市場への評価を端的に映しているが約定量だ。

約定は新電力販売量のわずか1.3%

 北海道1万2700kW、東京・東北8万8200kW、西日本8万3400kWと、合わせて全国で18万4300kW。落札者は24時間・365日の“箱形”で買う。つまり、電力販売量に換算すると16億1446万8000kWhで、これは2018年度の新電力の全販売量(1229億kWh)の1.3%に過ぎない。

 BL市場は大手電力に強制的に玉出しさせる制度で、大手電力には市場への供出量下限と売り入札価格の上限がルール化されている。市場全体の供出量下限は新電力の総需要に長期需給見通しを基に算定した平均的なベースロード比率「56%」を乗じた値で、今回のケースでは約688億kWhとなる。

 実際には大手電力から新電力に相対で卸した分や常時バックアップで提供した量を差し引いたものが下限となるが、それでも今回の約定量と比較すると相当な量が売れ残ったと想定される。

 8月28日、新電力の会員組織である日経エネルギーNextビジネス会議が開かれ、BL市場について議論した。その場でスマホで投票できるアンケートツールを使って聞いたところ、会場に集まった新電力幹部の大半が、今回のBL市場価格は3エリアのいずれも「高い」と回答した。

 東京・東北エリアを例に取れば、今回の9.77円/kWhは、2018年度(2018年4月~2019年3月)の東京エリアプライス平均(10.68円/kWh)より0.91円/kWh安い。それでも、77%が「高い」と回答し、「妥当」は20%、「安い」はゼロだった。

 新電力はなぜ「高い」と感じているのか。

 東日本、西日本の両エリアで大手電力から卸供給を受けているという新電力幹部は、「今回のBL市場価格は、現在、大手電力から相対で購入している契約とほぼ同じレベル。相対より安くなければ、BL市場で買う意味はない」と話す。

 また、ある市場関係者は「昨年度の夏のスポット市場が高騰したことなどを背景に、今年は相対調達の比率を高めた新電力が多い。ここにきてそれらを転売する動きが強まっている」という。つまり、新電力間の相対取引においても安価な電源を調達しやすい地合にあるというのだ。そうした足元の取引の相場観に照らしても、「今回のBL市場価格は高め」(市場関係者)だという。

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